富田園子
2026年1月6日 火曜 午前11:00

青い目や左右の色が違う“オッドアイ”、まるでタキシードを着たような柄の白黒猫、ポイントカラーのシャムなど猫の目や毛柄の“発色”は実に個性的。
その秘密はメラニン色素の量や体温が関係しているという。
理由を知ると「そういうことだったのか!?」と益々興味が湧いてくる猫の豆知識を、動物の生態に詳しい富田園子さんに連載で教えてもらいました。
目の色は色素の量で決まる
黄色だったり青だったり、はたまた緑だったり、猫の目の色は多彩です。でもひもといてみると、案外シンプルな法則に則っています。
現在はたくさんの色や柄の猫がいますが、もともとは唯一の毛柄しかいませんでした。キジトラです。
(参照:「三毛はツンデレ、白は臆病、黒猫は?毛柄によって違う性格と“白ブチ模様”の動物にある共通点」)
キジトラは別名Brown Mackerel Tabby(ブラウン・マッカレル・タビー)。基本茶色なので色素は濃いめです。
濃いめの色素だと猫の場合、虹彩は銅色(カッパー)や黄色になります。つまり野生の猫は全てこの目の色だったのです。

野生の猫の目は全て銅色や黄色だった(画像はイメージ)
しかし猫が人に飼われるようになると、キジトラ以外の毛色も増えていきます。保護色であるキジトラでなくても人に守ってもらえるからです。
そうして全身白など色素が薄い毛柄も増えていきました。色素が薄めだと目は青色になります。白色人種に青い目と金髪が多いのと同じです。

(画像はイメージ)
ところで、虹彩が青いのは青い色素があるからではありません。青い目は、晴れた日の空が青く見えるのと同じ。青空は天空に青い何かがあるわけではありませんよね。
小学校の理科の実験で、プリズム(ガラスの三角柱)を太陽の光にかざしていろいろな色に分けませんでしたか?この実験では太陽の光にはたくさんの色が混ざっていることがわかります。この中で青い光は波長が短く、大気中の粒子にぶつかって散乱しやすいという特徴をもちます。
上空に太陽があると、大気中で青い光がたくさん散乱するので空が青く見えるというわけです。これを「レイリー散乱」といいます。
青い目は「レイリー散乱」と同じ
猫の青い目も同じ原理です。虹彩の中にある少量の色素(粒子)に光が当たり、青い光がたくさん散乱するので青く見えるのです。
ちなみに青い目の白猫は難聴が多いことがわかっています。色素を抑制する遺伝子は内耳の形成にも影響を及ぼすからです。白猫の聴覚障害率は、両目とも青い猫では85%、片目が青い猫では40%というデータもあります。

アルビノの虹彩は赤くなる(画像はイメージ)
色素が薄いのではなく、全く色素がないアルビノ猫はほとんどいませんが、アルビノ猫の虹彩は赤くなります。眼底の血流が透けて見えるからです。白いうさぎは赤い目をしていますよね。それと同じです。
色素が濃い猫の目は銅色で、色素が薄い猫の目は青色。これが基本です。ただ、この中間に多くのバリエーションが存在します。

グリーンは銅色と青色の中間色(画像はイメージ)
グリーンやヘーゼルなどいろいろな呼び名がありますが、みんな銅色と青色の中間色になります。
左右で色素の量に差があると、「オッドアイ」「金目銀目」といわれる猫になります。

オッドアイ(画像はイメージ)
まれに片側が濃い銅色、片側が明るい黄色のオッドアイもいるようです。
子猫はみんな目が青い
色素が濃い猫でも、生後8週間くらいは全員青い目をしています。これはKitten Blue(キトンブルー)と呼ばれる現象で、期間限定の青い目です。

子猫はみんな“Kitten Blue”(画像はイメージ)
目の色素がまだ定着していないためで、8週を過ぎると本来の目の色に変わります。
夜に猫の目が光る理由
フラッシュをたいて猫を撮影した時、猫の目が光って写るのは猫の網膜の裏にタペタムという光の反射板があるからです。
夜行性の猫は目に入ったわずかな光をタペタムで反射して再度網膜に返すことで光を増幅させ、少ない光量でも見えるようになっています。

夜に光る猫の目(画像はイメージ)
薄暗がりの中で猫の目が光るのはこのタペタムのせいです。
夜に光る猫の目は昔の人々には妖しく見えたのでしょう。中世ヨーロッパで猫は悪魔の手先と見なされ迫害を受けました。
富田 園子(とみた そのこ)
編集&ライター。日本動物科学研究所所属。東京在住。
富田園子
編集&ライター、日本動物科学研究所所属。
幼い頃から犬・猫・鳥など、つねにペットを飼っている家庭に育つ。編集の世界にて動物の行動学に興味をもつ。猫雑誌の編集統括を8年務めたのち、独立。哺乳類動物学者の今泉忠明氏に師事。現在は7匹の猫と暮らす。東京在住。
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