突発性難聴について説明する山本典生耳鼻咽喉科部長=神戸市中央区港島南町2、市立医療センター中央市民病院

<病を知る ひょうご>(39)突発性難聴 発症1週間以内、早期治療が鍵

2026/6/1 05:10

突発性難聴について説明する山本典生耳鼻咽喉科部長=神戸市中央区港島南町2、市立医療センター中央市民病院
突発性難聴について説明する山本典生耳鼻咽喉科部長=神戸市中央区港島南町2、市立医療センター中央市民病院


 ある日突然、片方の耳の聞こえが悪くなる原因不明の疾患「突発性難聴」。ストレスや過労、睡眠不足など生活習慣の乱れがあると発症しやすいとされており、これまでに堂本剛さんや「サカナクション」の山口一郎さん、「Mrs.GREEN APPLE」の大森元貴さんらも発症を公表してきた。神戸市立医療センター中央市民病院(同市中央区港島南町2)の山本典生耳鼻咽喉科部長(55)は「治療が遅れるほど治りにくく、できるだけ早い治療開始を」と呼びかける。(長谷部崇)


■ある日突然

 「難聴」は大きく2種類に分けられる。外耳や中耳に何らかの障害があって発症する「伝音難聴」と、内耳から脳へ音の信号を伝える経路に何らかの問題が生じる「感音難聴」だ。突発性難聴は何の前ぶれもなく、突発的に起こる感音難聴のうち「原因が分からないもの」と定義される。

 「『ある日突然』というのが一番のポイント。本当に突発的に起こる難聴です」と山本部長。「朝起きたら聞こえなくなっていた」とか「日中急に聞こえなくなった」という人も多い。発症のメカニズムはよく分かっていないが、内耳にある聴覚器官「蝸牛(かぎゅう)」につながる血管の血流障害が原因で発症するのではないかと考えられている。


■年間3万5000人

 全国で年間約3万5千人が発症するとされ、患者の年代は子どもから高齢者まで幅広い。聞こえにくさは軽度から高度まで人によって異なり、「キーン」や「ボー」などの耳鳴り、めまい、耳が詰まったような症状を伴うこともある。疲労や寝不足のほか、過度のストレスにさらされて発症する患者が多いという。

 問診では、発症時期や症状の経過などを詳しく尋ねる。耳の内部を確認し、耳あかの詰まりや中耳炎などがあれば、その治療を優先する。外耳や中耳に原因となるような異常がなければ、突発性難聴を疑うことになり、まず聴力を検査する。

 突発性難聴と似た症状として、メニエール病や外リンパ瘻(ろう)、内耳の神経に腫瘍ができる聴神経腫瘍がある。突発性難聴の診断にはこれらの疾患の可能性を排除する必要がある。メニエール病は日によって聴力が改善したり悪化したりするが、突発性難聴にそうした症状の波は見られない。聴神経腫瘍の有無は、磁気共鳴画像装置(MRI)検査で確認する。


■3分の1回復せず

 突発性難聴の治療は、内服や点滴による副腎皮質ホルモン(ステロイド)の薬物療法が一般的だ。ただ、ステロイドの副作用として、糖尿病や高血圧、緑内障、胃潰瘍など持病が悪化する可能性があり、治療中は入院が必要となることもある。過労やストレスが原因とされることから、治療中は仕事を休むなど安静に過ごし、睡眠も十分取ることが大切だ。

 ただ、突発性難聴と診断されて聴力が元通りに回復するのは患者全体の約3分の1にとどまる。約3分の1は改善するものの完全には治らず、残り約3分の1の人は全く回復しない。ステロイドの投薬期間は1週間~10日ほどだが、1、2カ月かけて少しずつ回復していく人もおり、治療の効果は2カ月くらい待たないと判断できないところがある。難聴が残った場合は、補聴器の使用や人工内耳の埋め込み手術も選択肢に入ってくる。

 一番重要なポイントが早期の受診と治療開始だ。治療が遅くなるほど治りも悪くなるとされ、山本部長は「ある日突然聞こえが悪くなったり、耳鳴りが出たりした場合はすぐに耳鼻科で検査や診断を受けてほしい」と話す。できれば発症から1週間以内に治療を開始することが望ましいという。


記事のポイント! 

突発性難聴は、ある日突然、片方の耳が聞こえにくくなる感音難聴の一つです。ストレスや過労、睡眠不足などが関係するとされ、耳鳴りや耳の詰まり、めまいを伴うこともあります。記事では、発症後の治療開始が遅れるほど回復しにくくなることを踏まえ、突然の聞こえづらさを軽く見ず、できるだけ早く耳鼻科で検査を受ける重要性が紹介されています。

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原文掲載元はこちら 

 https://www.kobe-np.co.jp/news/society/202606/0020421924.shtml

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