「耳鳴り」が続くのは「難聴」の前兆!?…若者こそ気を付けるべき身近に潜む難聴の「リスク」

「耳鳴り」が続くのは「難聴」の前兆!?…若者こそ気を付けるべき身近に潜む難聴の「リスク」

2024.07.18

永田 宏さんの写真
永田 宏長浜バイオ大学バイオデータサイエンス学科教授
プロフィール

毎年1回は受けることが義務付けられている職場健診。健診結果の異常を示す「*」がついた数値には、実は気にしなくて良いものもあれば、今すぐに再検査を受けなければならないものもある。果たしてあなたは診断結果の本当の意味を理解しているだろうか。

BMI・血圧・尿糖・眼底など項目別にその検査結果の正しい見方を解説した『健診結果の読み方』(永田宏著)より一部抜粋してお届けする。


『健診結果の読み方』連載第41回

『健診結果の読み方』(永田宏著)の表紙画像


聴力検査

聴力検査は、難聴のスクリーニング検査で、職場健診の必須項目に入っています。防音が施された個室に入ってヘッドフォンを装着し、音が聴こえたらボタンを押すという、例の簡単な検査です。

聴力検査で医師にヘッドホンを頭に載せられる患者の後ろ姿

普通の健診で聴こえてくる音は、低音域(1000ヘルツ)と高音域(4000ヘルツ)の2音のみです。つまり「プー、プー、プー」と「ピー、ピー、ピー」です。ひとの会話の音域(500~1000ヘルツ)と、楽器の高音域(ピアノの最高音は4186ヘルツ)に合わせています。ただし強さは「プー」が30デシベル、「ピー」が40デシベル。ささやき声、ひそひそ声のレベルです。この「プー」と「ピー」が両方とも聴こえていれば、日常生活を普通に送れるというわけです。


気軽に調べることも可能

騒音作業の職場に就職、あるいは配置換えの際には、250、500、1000、2000、4000、8000ヘルツの6音による検査が義務付けられています。騒音作業には国のガイドラインが設けられていて、平均85デシベル以上の職場が対象となっています。地下鉄の車内が80~85デシベルと言われていますから、それ以上の騒音に常にさらされるような職場ということになります。

耳に手をかざす女性の耳の写真

普通に生活していても聴力は年齢とともに低下し、とくに高音域が聴き取りにくくなっていきます。おおよその目安(耳だから耳安か?)は、20代で2万ヘルツ、40代で1万5000ヘルツ、50代で1万2000ヘルツ、60代では1万ヘルツといったところです。インターネット上には、聴力検査ができるアプリや動画がいくつも載っていますから、試してみるといいでしょう。

ただし、それらを再生するハードウェアの性能を確認しておいてください。2万ヘルツとかの高音域を出せないスピーカーやヘッドフォンだったら、どんなに集中しても聴こえるわけがありません。


若者にも増える難聴…

難聴になるのは、仕事関係者と高齢者だけだと思っているとしたら、実は大きな間違いです。最近はコンサート会場やライブハウスでロック音楽などの爆音を聴き続けたため、難聴になる若者が増えているからです。

コンサート会場で両手を上げる観客たちの後ろ姿

正式には「音響外傷」というのですが「ロック難聴」や「ライブハウス難聴」などと呼ばれています。電車内で見かける、ヘッドフォンやイヤホンでスマホの音楽を大音量で聴いているひとも、難聴(ヘッドフォン難聴)になるリスクが高くなっています。

音響外傷になると、耳鳴りが止まらなくなったり、聴覚過敏(音が大きく聴こえる)などの症状が出てきます。多くは一過性ですが、何度も繰り返していると、本物の難聴に進行することがあります。もし健診の聴力検査でひっかかったら、とくに心当たりがあるひとは、耳鼻科に行って診てもらったほうがいいでしょう。

『あなたは「健診」と「検診」の違いを説明できますか…?では「人間ドック」とは…?』へ続く


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