
東京都が19日、事業予定者を発表した築地市場跡地(中央区)の再開発。中核施設となるマルチスタジアムは、変幻自在に内部の形が変わるのが特徴だ。国内の既存施設に不足しているVIPルームなど迎賓機能を充実させ、新次元の多目的施設として、世界中から多彩なイベントを呼び込む。
事業予定者によると、同スタジアムは、可動席や仮設席を活用し、世界的にも珍しい「可変性」と「多機能性」を目指す。約5万人収容を基本にしながら、2万~5万7000席に変化。目的に応じてフィールドと客席が形を変え、観客にとって常に最適な観戦体験と環境を提供できる。
屋根のある全天候型で、野球やサッカー、ラグビー、バスケットボールといった多様なスポーツにとどまらず、音楽ライブや大規模展示、演劇の際にも、専用施設と同様の迫力を感じることができる。

最先端のデジタル技術と音響・演出装置を導入し、臨場感や高揚感、没入感を高める工夫を凝らす。海外の賓客も受け入れられるよう、様々なタイプのVIPルームを用意し、国内最大規模のラウンジも備える予定だ。
誰もが利用しやすいようユニバーサルデザインも徹底する。性別、年齢、障害の有無に関わらない「感動体験の共有」を基本理念に掲げ、常設の車いす席を多数設置するほか、視覚や聴覚など感覚過敏の症状がある人らが安心して過ごせる「センサリールーム」や「クールダウン室」を設ける。視覚・聴覚障害者向けに音声・文字情報の提供も想定している。
国内に多目的のスタジアムやアリーナは多数あるが、観客席からフィールドが遠かったり、VIPルームや障害者向けの設備が足りなかったりする課題がある。スポーツ庁は「多様な利用シーンを実現するための仕様・設備が必要」と改革を促している。
新たなスタジアムはこうした課題を克服したうえで、世界中から大規模イベントや一流アーティストを誘致していく。
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