聴覚障がいのあるエンジニアとともに「デフ×IT」の未来を考えるカンファレンス「DEFCON(Deaf Engineer's Future Conference)」の登壇者達

障がい者雇用は「雇用した後」が本番。聴覚障がいのある人と企業が「雇用の質」を考えるイベント「DEFCON」を初開催

記事のポイント! 

聴覚障害のあるエンジニアと企業が、障害者雇用の「質」について考えるイベント「DEFCON」が初開催されました。難聴うさぎ氏は補聴器を使用する自身の経験を語り、デフエンジニアらはAIや音声認識技術の活用を紹介。手話通訳や要約筆記などの情報保障、合理的配慮のあり方も議論されました。難聴や聴覚障害のある人が能力を発揮し、働き続けられる環境づくりには、本人と企業の対話が重要であることを伝えています。

 

聴覚障がいのある参加者39名を含む68名が参加。AI・IT、情報保障、キャリア形成から“働き続けられる環境”を考える

株式会社C4C
2026年10月13日 10時00分

聴覚障がいのあるエンジニアとともに「デフ×IT」の未来を考えるカンファレンス「DEFCON(Deaf Engineer's Future Conference)」の登壇者達


株式会社C4C(本社:東京都中央区、代表取締役:亀山強、以下C4C)は、2026年9月26日(土)、聴覚障がいのあるエンジニアとともに「デフ×IT」の未来を考えるカンファレンス「DEFCON(Deaf Engineer's Future Conference)」を初開催しました。

イベントでは、聴覚障がい当事者としてSNSで発信を続ける難聴うさぎ氏によるセッションをはじめ、デフエンジニアによるライトニングトーク、国会議員・企業経営者・デフエンジニアらによるパネルディスカッションなどを実施。

「障がい者を雇用する」という視点だけではなく、「どうすれば一人ひとりが能力を発揮し、社会で活躍できるのか」という視点から、障がい者雇用のあり方を考える場となりました。

 

開催の背景|「雇用した後」の課題と、デフエンジニア自身が声を届ける場を

C4Cでは2018年、事業部長の有馬を中心に「デフエンジニアリング事業部」を立ち上げ、聴覚障がいのあるエンジニアを、聴者と共通の条件・評価基準で採用・育成してきました。

DEFCONを開催した理由は、大きく2つあります。

有馬哲平氏

有馬哲平氏


1つ目は、障がい者雇用における「雇用した後」の課題を、社会に伝えること。

雇用すること自体はゴールではありません。どんな仕事を任せるのか、どう成長してもらうのか、必要な情報やコミュニケーションをどう届けるのか。企業と当事者の間には、まだ多くの課題があります。

2つ目は、デフエンジニア自身が声を届ける場をつくること。

IT業界にはたくさんの勉強会やカンファレンスがありますが、デフエンジニアが自分の技術や仕事、働き方について発信する機会は、まだ多くありません。

DEFCONでは、デフエンジニアが登壇し、それぞれの経験や知見を共有しました。そして、企業や当事者、ITに関わる人たちが同じ場で対話しました。

 

インフルエンサーセッション|「耳が聴こえない自分が嫌だった」過去から「デフ」を個性に

最初のセッションでは、共同主催の難聴うさぎ氏が、自身の経験と情報発信を続ける背景について語りました。

幼い頃は、補聴器が見えることが嫌で、「耳が聴こえない自分」を受け入れられずにいたといいます。そこから発想を転換し、聴覚障がいという「人と違う個性」をTikTokで発信し始めたことが、インフルエンサーとしての活動の出発点となりました。

また、中学時代に夢中になったオンラインゲームを例に、「この世界は、頭の上に吹き出しが出て、誰が何を喋っているか分かる世界」と紹介。音声ではなく文字で情報を受け取れる世界の魅力を語りました。

補聴器についても、「片耳75万円、両耳で150万円くらい。車が買えますね」と語るなど、当事者だからこそ分かる日常の経験を、ユーモアを交えながら率直に伝えました。

難聴うさぎ氏

難聴うさぎ氏


LTセッション|「選択肢を増やす」IT活用を3名が発表

3名のデフエンジニア・学生が、それぞれの専門領域や仕事・研究におけるIT活用について、ライトニングトーク形式で短いプレゼンを行いました。

田本拓磨氏「情報の受け取り方を増やすIT――音の方向を知る研究から考えたこと」

田本拓磨氏「情報の受け取り方を増やすIT――音の方向を知る研究から考えたこと」

 

井上昌雄氏「難聴のITコンサルが、会議の前後にやっていること」

井上昌雄氏「難聴のITコンサルが、会議の前後にやっていること」

 

村上龍平氏「AI時代の議事録の取り方」

村上龍平氏「AI時代の議事録の取り方」


3つの発表に共通していたのは、ITを単に「できないことを補う」ためのものとして捉えるのではなく、必要な情報を自分で受け取り、自分に合った方法で仕事を進めるための選択肢として活用していることです。

これは、テクノロジーが「支援される側/する側」という関係を変え、一人ひとりが自分に合った方法を選び、自ら仕事や環境をつくっていく可能性を示すものでもあります。

 

パネルディスカッション|議論を通して見えた3つのこと

パネルディスカッションでは、斉藤りえ氏(衆議院議員)、岩田進氏(株式会社イルグルム 代表取締役CEO)、田本拓磨氏、村上龍平氏、佐藤真美氏らが登壇。難聴うさぎ氏を進行役に、「難題は人をどう変えるか」「双方が幸せになる障がい者雇用」「デフ×ITで世界はどのように変わるか」の3つのテーマについて議論しました。

さまざまな立場から語られた内容を振り返ると、障がい者雇用やデフ・難聴者を取り巻く環境について、特に印象に残ったのは次の3つのポイントです。

「雇用率」から「雇用の質」へ――一人ひとりを知り、対話する
障がい者雇用を考えるうえで問われるのは、「何人雇用したか」だけではありません。「その人がどのように働き、成長できているか」という「雇用の質」も重要です。

議論では、「できない」で終わらせず、「どうしたらできるか」を一緒に考えることの大切さが語られました。

岩田進氏

岩田進氏


岩田氏は、誰にでも課題や弱みがあることを踏まえ、「強みを活かし、弱みを補い合いながら、一緒に成果を挙げていける環境づくりが大事」と説明しました。

また、斉藤氏は、2026年7月に民間企業の法定雇用率が2.7%へ引き上げられたことに触れ、「2.7%をゴールにしてはいけない」と強調。適切な賃金や研修、昇進、キャリア形成の機会を整え、「雇用率を達成するための雇用」から「その人と組織の双方が成長するための雇用」へ視点を広げることが求められます。

パネルディスカッション

そして、その土台となるのが「対話」です。

村上氏は、採用後の企業側の「どうしよう」という不安にも触れ、そうしたモヤモヤがなくなるまでコミュニケーションをとることの重要性を語りました。

これを受け、難聴うさぎ氏が語ったのが、「簡単にまとめると、仲良くなればいい」という言葉です。


ここでいう「仲良くなる」とは、「何に困っているのか」「どんな配慮があれば力を発揮できるのか」を、お互いに率直に伝え合える関係をつくること。

企業が一方的に配慮するのではなく、本人と企業が対話しながら、一緒に働き方をつくっていく。

一人ひとりを知り、対話し、その人が力を発揮できる環境をつくること。それが、障がい者雇用の「質」を高めるための重要な視点として共有されました。

 

「デフ×IT」が広げる、「自分で選ぶ」可能性

難聴うさぎ氏と斉藤りえ氏

難聴うさぎ氏と斉藤りえ氏


2つ目のポイントは、テクノロジーによって広がる「選択肢」です。

「デフ×IT」をテーマにした議論では、AIや音声認識技術の進化によって、自分で情報を受け取り、判断し、自分の言葉で発言できる場面が増えていることが語られました。

一方で、テクノロジーですべてが解決するわけではありません。だからこそ、手話通訳、要約筆記、文字、音声認識など、本人が自分に合った方法を選べることが重要です。

テクノロジーを「困りごとを解決するもの」だけでなく、自分らしく参加するための選択肢を増やすものとして捉える。「デフ×IT」から、そんな可能性が見えてきました。



 「障がい者」という言葉をどう捉える?――当事者との対話から生まれた気づき

イベントでは、障がいのある人の呼び方という「言葉」についても議論が交わされました。

「障害者」という呼び方は良くないのでは、という意見がある一方、村上氏は自身の説明に「障害者」を使うことに抵抗はなく、ネガティブなイメージもないと話しました。

佐藤真美氏

佐藤真美氏


佐藤氏は、「障害を持っている人」という表現に「好きで持っているわけじゃない」という違和感があり、「障害がある人」なら理解できると述べました。

「ろう者」「難聴者」といった呼称も、受け止め方は人それぞれです。会場で「ろう者と呼ばれても構わないか」を尋ねたところ、意見はほぼ半々に分かれました。

一つの「正解」を決めるのではなく、感じ方や望むコミュニケーションは一人ひとり異なる。そんなことに気づく機会となりました。

 

参加者の声|「知ること」で、思い込みがアップデートされた

参加者アンケートでは、満足度88.8%という結果となりました。

【調査概要】

対象:2026年9月26日開催「DEFCON」参加者
方法:イベント終了後のアンケート
回答数:54名(参加者68名)
満足度:88.8%
※満足度は、アンケートにおいて5点満点で評価いただいた回答をもとに算出しています。
※本結果はアンケート回答者の傾向を示すものであり、参加者全体の評価を示すものではありません。

参加者からは、「普段デフの皆さんと接する機会がないため、とにかく新しく知ることが多く、とても勉強になった」「聞こえないことを勝手にネガティブに捉えていたが、思い込みや誤った認識をアップデートできた」といった声が寄せられました。

また、「将来のキャリアを見つめ直せる有意義な時間だった」「『新たなことを知る』という第一歩を踏み出すことができ、世界が広がった」という声や、今後の開催を望む声もありました。


今回のDEFCONでは、聴覚障がいのある人と聴者が同じ場で経験や考えを共有しました。そこで見えてきたのは、「障がいがあるからできない」のではなく、情報の届き方や環境、コミュニケーションの方法によって「できること」は変わるということです。

そのために必要なのは、テクノロジーだけではなく、まず本人を知り、対話すること。C4Cがデフエンジニアリング事業部の活動を通じて大切にしてきたのも、まさにこの「対話」です。

今後もDEFCONを継続的に開催し、「デフ×IT」の可能性を発信するとともに、社会の「当たり前」をアップデートするきっかけをつくっていきます。

 

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原文掲載元はこちら

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000188503.html

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