難聴判断の感覚は年齢で変化 聞き間違いが増えたら迷わず受診を/東大大学院・樫尾明憲准教授

難聴判断の感覚は年齢で変化 聞き間違いが増えたら迷わず受診を/東大大学院・樫尾明憲准教授

[2026年3月17日8時0分]
あなたにも起こる加齢性難聴<12>

前回は「難聴」の早期発見のために自己チェック表の「難聴障害度質問票(短縮版)HHIEーS」を取りあげました。質問票は有効なのですが、加齢に伴っていろいろ質問への答え方が変化してくるという問題点があることも知っておきましょう。

質問票の「聞こえない事によってストレスを感じますか?」などの質問に、実は年を取るほど自己評価が甘くなるのです。若い人はちょっとでも聞こえに変化があると、「聞こえにくい」と応えますが、高齢者は「大丈夫」と思う傾向のあることが研究で分かっています。

その研究では、40代の女性は平均聴力が10・3デシベルで「聞こえが悪いかも」と自覚します。これが70歳の女性であれば、36・8デシベルと、かなり難聴になってからでないと「聞こえが悪いかも」とは言わないのです。男女でも違いがあります。40歳の男性では20デシベルくらいになって「聞こえが悪いかも」と自覚し、70歳の男性では42デシベルにならないと「聞こえが悪いかも」と言わないのです。このように、年齢、性別によって難聴を判断する感覚にはかなりの違いがあります。

難聴の程度を判断する聴力レベルは、「正常」「軽度難聴」「中等度難聴」「高度難聴」「重度難聴」に分けられています。正常は25デシベル未満で「小さな声やささやき声も聞こえる」。軽度難聴は25~40デシベル未満で「小さな声や騒音化での会話が聞きづらい」。中等度難聴は40~70デシベル未満で「普通の大きさの声の会話が聞きづらい」。高度難聴は70~90デシベル未満で「普通の大きさの声の会話が聞き取れない。補聴器を用いないと会話が聞こえない」。重度難聴は90デシベル以上で「耳元で話されても聞き取れない。補聴器でも聞き取れないことが多い」。

70歳の男性が聞こえの悪さに気づく42デシベルはすでに中等度の難聴です。そうならないうちに対応するためにも、「ちゃんと聞こえてないんじゃないの?」「聞き間違いが多いよ」、と周りの人から言われることがあれば、余計なことは考えずに耳鼻咽喉科を受診するのが何より重要です。(医学ジャーナリスト 松井宏夫)


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