電話の声が聞こえづらい高齢者の強い味方 文字が会話を助ける「ヨメテル」

電話の声が聞こえづらい高齢者の強い味方 文字が会話を助ける「ヨメテル」

2026/2/15 09:00
藤谷 茂樹

聞こえづらさを感じる人の電話利用を手助けする公的サービス「ヨメテル」=1月、東京都千代田区の日本財団電話リレーサービス (藤谷茂樹撮影、画像は一部加工しています)

聞こえづらさを感じる人の電話利用を手助けする公的サービス「ヨメテル」=1月、東京都千代田区の日本財団電話リレーサービス (藤谷茂樹撮影、画像は一部加工しています)


電話で相手の声が聞こえにくい人のために昨年1月に始まった「ヨメテル」。スマートフォンのアプリを通じ、相手の声をオペレーターが入力したり、人工知能(AI)が文字に変換したりして会話を助ける公的サービスだ。聴覚障害者だけでなく、聞こえづらさを感じる、すべての人が利用できる。聴力低下で電話での通話に不安がある高齢者の心強い味方になりそうだ。


音声が文字に変換される


「私の声が、文字で読むことができますよね」。手元にあるスマホの画面上に文字が次々と表示される。ヨメテルのアプリで、オンにしたスピーカーから聞こえる相手の声が即時に変換されていった。

ヨメテルを運営する一般財団法人「日本財団電話リレーサービス」(東京都千代田区)のオフィスで、AIによる文字変換タイプのヨメテルを体験した。

「誤字が表示されましたか?」という声の「誤字」が「5時」と表示されるなどはあったが、全体として会話には十分な精度だった。広報チームの上村麻子さんは「正確に確認したい場合は、音声と文字に多少時間差はあるが、オペレーターによる入力タイプも選べる」と説明する。

ヨメテルは、同法人が令和3年7月に提供を始めた「電話リレーサービス」の新サービスだ。電話リレーサービスは、聴覚や発話に困難のある人の手話や文字をオペレーターが音声に通訳する。今年1月末時点の登録件数はヨメテルが3663件、電話リレーサービスが1万8906件に上る。いずれも専用アプリを入れて本人確認ができれば利用できる。通話料がかかり、「050」から始まる電話番号が付与される。


手話で利用できるサービスも


ヨメテルと電話リレーサービスの主な違いは利用者が声で話せるかどうかだ。

ヨメテルは利用者の声をそのまま相手に届ける。補聴器使用で発話ができる聴覚障害者、加齢性難聴の人、特定の音域が聞こえにくい人などに対し、文字変換で音声の理解を助ける。聞こえづらさがあった高齢男性はヨメテルを体験し、「霧が晴れ渡ったように感じた」との声を寄せたという。

「ヨメテル」「電話リレーサービス」の仕組み


「電話リレーサービス」は手話を使う聴覚障害者のほか、発話が困難な人の利用を想定している。注意する点は音声言語と手話には言語の違いがあることだ。ろう教育に詳しい群馬大の金沢貴之教授は「直接的に伝えない日本語と違い、手話ははっきりと伝える言語だ」と指摘。互いの言語文化の違いを認識してコミュニケーションをとることが求められる。

これらのサービスの普及には周知が必要だ。利用者がサービスを使って電話をかけて相手が応答すると、ヨメテルでは音声ガイダンス、電話リレーサービスではオペレーターによるアナウンスが流れる。サービスを知らない相手が不審に思い、切ってしまうことがあるという。

「登録が面倒だ」などの理由で利用を敬遠する高齢者も少なくない。上村さんは「家族などが手助けしながら登録してほしい」。同法人では体験登録会も開催している。

金沢教授は「ヨメテルは特に難聴になった高齢者に待ち望まれたサービスといえる。広がれば、電話リレーサービス全体の認知度アップにつながる」と期待している。


日本では救助契機に制度化


聴覚障害者向けに第三者を介した電話サービスは約60年前、1960年代半ばに米国で始まった。当初はTDDという機器で文字の打ち込みや紙への印字を行いながら、オペレーターとやりとりして電話がかけられるサービスだった。

米国で90年にADA法(障害のあるアメリカ人法)が制定され、公的サービスとして義務付けられると世界に広がった。韓国、タイ、スウェーデンなどで公的サービスとして提供されている。

日本でも民間サービスが登場したが、ファクスや携帯電話のSMS(ショートメッセージ)など代替になるサービスの普及で、採算がとれず浸透しなかった。

しかし、平成29年6月、愛知県沖で聴覚障害者が乗ったボートが転覆し、当時、日本財団が実証事業として行っていた電話リレーサービスによる緊急通報で救助された。電話にアクセスできる重要性が再認識され、公的サービス化の議論が活発になった。

令和2年12月施行の「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律」で、電話リレーサービスは制度化。総務省が監督する公共インフラとしての通信サービスとなっている。(藤谷茂樹)


リンク先は産経新聞というサイトの記事になります。


 

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