「めっちゃすごい」手話したい 妻高1年の神田さん、手話コン挑戦

「めっちゃすごい」手話したい 妻高1年の神田さん、手話コン挑戦

吉田啓2025年8月23日 10時30分 

コンテストで予定している手話スピーチを披露する神田実和さん=2025年8月16日、宮崎県西都市

コンテストで予定している手話スピーチを披露する神田実和さん=2025年8月16日、宮崎県西都市

 手話の習得やサークル活動に取り組む高校生たちを応援し、手話の普及などを進めようと、31日に東京で開かれる「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に、宮崎県立妻高校1年の神田実和さん(15)が出場する。聴覚が不自由で、手話で会話する「ろう者」とのコミュニケーションを通じて学んだ「合理的配慮」をテーマに挑戦する。

 神田さんが手話に興味を持ったのは4年ほど前。一つ年上の姉が聴覚障害者と手話で会話する姿を見て「私の知らない言葉を使いこなしている。かっこいい」と思った。

 中学2年の時、宮崎県西都市の「手話奉仕員養成講座」に通って基礎を学び、その後は市内の手話サークル「ひまわり」で週1回、2時間ほど勉強を重ねてきた。

 手話は似たようなジェスチャーでも、わずかな動きや速さの違いで全く異なる意味になってしまうことがある。学び始めてしばらくは、相手の手話が読み取れず、自分の伝えたい言葉の手話表現もパッと思い出すことが出来ずに戸惑った。

 話し言葉による会話と同じで、人によって手話の速さや顔の表情、使う言葉が異なる。想像以上に習得は難しかったが、そこに面白さも感じた。同じ人と何回か顔を合わせて手話を交わすうち、円滑に会話が進むようになった。「上手になったね」と、ほめられるとうれしくて続けてきた。

 手話劇に出演したり、ろう者も参加するイベントで交通整理や受付の手伝いをしたり。姉とも手話で会話して、経験を積んできた。

 コンテストでは「合理的配慮」をテーマにした文章を手話で披露する。昨年、全国手話検定の1級試験で小論文の課題になった言葉だという。予習していた言葉だったが理解が足りず、不合格となった。

 コンテストへの挑戦にあたり、サークルの指導者で手話通訳士の阿萬清香さんと話し合って、この落第体験をもとにコンテストのテーマの一つとして示された「今の社会に足りないもの」を考えるスピーチをすることにした。

 何度も話し合い、原稿の修正を重ねて「伝えたい言葉」や「これまでで印象に残った体験」を落とし込んだ。

 神田さんが手話を十分に読み取れていないと感じたろう者が、ゆっくりと手話を進めてくれたエピソードなどを交え、「相手のことを考えて行動すること」が自然と合理的配慮になっていくのではと導いた。さらに、他者と関わりを持ち、対話を重ねる大切さを訴える原稿を完成させた。

 応募した62人の中から原稿と映像の審査を経て、出場者10人に選ばれた。

 コンテストでは参観者が「めっちゃすごかった」と感動するような手話スピーチを披露したいと、練習を重ねている。


リンク先は朝日新聞というサイトの記事になります。


 

ブログに戻る

コメントを残す