「もっと速く、もっと正確に」JAL国際線カウンターが設置した“令和のほんやくコンニャク”がつないだコミュニケーション

「もっと速く、もっと正確に」JAL国際線カウンターが設置した“令和のほんやくコンニャク”がつないだコミュニケーション

2026.01.04 15:00
NEWSポストセブン

耳が不自由な人へのご案内の様子

耳が不自由な人へのご案内の様子


 ひとくち食べればあらゆる言語が自国語のように聞き取れるドラえもんのひみつ道具、「ほんやくコンニャク」。そんな夢の万能翻訳機ともいえるシステムが、2025年、羽田空港・成田空港のJAL国際線チェックインカウンターで試験導入された。国際線利用者の多様化や混雑といった課題解決に、“令和のほんにゃくコンニャク”はどう役立ってくれるのだろう──。

 昨今のインバウンドの増加に伴い、終始大勢の人々で賑わう羽田空港や成田空港。国際線のカウンターにはさまざまな言語が飛び交い、空港利用者のグローバル化・多様化が進むなか、航空会社にも幅広い対応が求められる。

「近年では英語、中国語、韓国語に限らず、多様な言語を母語とするお客さまに空港をご利用いただいており、翻訳アプリなどを利用して対応させていただくことが増えていますね。また、聴覚に障がいのある方には、手話のできるスタッフが担当したり、筆談ボードを使用したりすることでお話をさせていただいています」(株式会社JALスカイ羽田事業所空港オペレーション国際部第2室第3グループ・古畑梨絵さん)

音声文字化機器(英語表示)

音声文字化機器(英語表示)


 しかし、スマホやタブレットの翻訳アプリを介してのやりとりはどうしても時間を要する。手元の画面を見ることが多いため、「お客さまの目を見て対話をすることが難しくなってしまう懸念もあります」と古畑さん。また、空港内の混雑などによる喧騒の中では、時として音声による案内だけでは利用者に情報が届きにくいこともあるという。

 そこでJALが着目したのが、大日本印刷株式会社が開発した音声文字化機器「DNP対話支援システム」だ。マイクを通して会話をすれば、その内容をリアルタイムで透明なディスプレイに表示してくれるシステムで、必要に応じて手元のタブレットにより31か国の多言語情報に切り替えが可能。電源とWi-Fi環境があれば利用できるため、設置も非常に簡単だ。

「対話自体は翻訳アプリなど既存のソリューションで可能であっても、この音声文字化機器の即時性や翻訳精度の高さはお客さまのお役に立つと考えました。また、この機器はディスプレイが透明であるため、私たちが大切にしている『お客さまの目を見て接客する』ことを可能にしてくれる点も試験導入の理由となりました」(日本航空株式会社CX推進部企画推進グループ・藤田凌輔さん)

 羽田空港・成田空港では、「東京2025デフリンピック」開催時期の2025年11月10日〜20日、国際線チェックインカウンターに音声文字化機器を設置。また、羽田・成田に先駆けて万博開催期間には関西国際空港に設置した。

グランドスタッフ側の機器

グランドスタッフ側の機器


 対応にあたったスタッフからは、「マイクの性能がとても良く、既存の翻訳アプリではうまく通じなかった話もお客さまに正確に理解していただけた」「聴覚に障がいのあるお客さまとの対話に使用したところ、とてもスムーズにチェックインができた」といった高い評価が相次いだという。

「スピードが速い、精度が高いというのが、使用したスタッフ全員が抱いた印象です。言語をタブレットで選択するだけで、お客さまと担当者それぞれの面に相手の話す内容が自分の母語で即時に表示されますので、どちらにとってもストレスのない対話が可能になりました。

 お客さまがお話される際の言葉と言葉の間の『えーっと』とか『あぁ』といったニュアンスまで読み取ってくれるほど精度が高く、透明なディスプレイをはさんで顔を見ながらお話ができるので、本当にお客さまと直接会話をしているようでした。お客さまも安心してくださったと思います」(古畑さん)

 実際には使用しない日本人利用客にも興味を示す人が多く、正式な実用化に期待している様子だったという。

耳が不自由な人とのやり取りの様子

耳が不自由な人とのやり取りの様子


 手荷物の危険物確認や、非常口に近い座席の利用客に対する緊急時の援助承諾確認といった安全に関わる重要な事項においても、この音声文字化機器を使用することで確認作業がスムーズに。

「母語でない言語による確認事項の伝達は難しい場合もありますが、この機器によって言語の壁を気にせずに業務に就け、安全確認も確実に行えて非常に有効だと思います」と藤田さんは言う。

「多様性の時代になり、本当にさまざまなお客さまが飛行機をご利用になられます。すべての方にできるだけ同様の対応ができるよう、そしてお客さまの体験価値向上につながるよう、お客さまの声に真摯に耳を傾け、音声文字化機器のような新しいツールを積極的に試していきたいと考えています」

 母語の違いや障がいなどを超え、速く、正確なコミュニケーションをつないでくれる“令和のほんやくコンニャク”、音声文字化機器。これからも新たな“ひみつの道具”が現れて、空の旅をさらに快適に、さらに安心に楽しませてくれるようになることだろう。

【写真】“令和のほんやくコンニャク” 音声文字化機器による現場でのコミュニケーションの様子


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