井上 順さん&アンミカさん

井上順がアンミカとの対談で語った前向きな生き方 ありのままの自分を受け入れ難聴もオープンに「ぼくは生きているだけで四六時中ハッピーなの」

2026.04.22 16:02
井上順さん&アンミカさん(撮影/田中智久)

井上順さん&アンミカさん(撮影/田中智久)


野獣会との出会いからザ・スパイダース加入まで、人との縁が人生を導いたと語った前編。後編では、50代で難聴になったショックすらも前向きな気持ちに切り替えていく生き方に、アンミカさんと共感の輪が広がります。ポジティブ対談のスタート!

アンミカ:私、順さんのフィンガーペイントの作品が、温かな空気を感じてすごく好きなんです。

井上:うれしいな、コロナ禍で家にいることが多い時期に、知人が36色の絵の具を贈ってくれたの。それがきっかけだから、始めてからそんなに経ってないんです。

アンミカ:絵はもともとお好きだったんですか?

井上:絵はヘタクソ。でも、絵の具をもらって少し経ったあるとき、目の前にあったマスカットを見ながら親指に絵の具を付けて、母印を押すようにグッグッグッと押し付けてみたんです。そしたらマスカットの出来上がり! 天才かもしれない、と思って(笑い)。

アンミカ:そこから描くのが楽しくなっていったんですね。

井上:そうなの。頼まれることも増え始めて、100枚くらいはプレゼントしたかな。近所のお店に飾ってあったりするんですよ。

アンミカ:福の神が宿りそう!

井上:「本当にこんなの飾って大丈夫かい?」って言ってるんだけどね。でも自分が描いた作品で人が笑顔になるのはとってもうれしいことだよね。

アンミカ:ぜひ展覧会を開催してほしいです!

井上:ずっとお世話になっている渋谷区にお返しの気持ちとして、今年まさに展覧会を渋谷区のどこかで開催できたらいいなと思っているの。やることになったらアンミカさんにお声がけするね。

アンミカ:楽しみにしています!

アンミカさん(撮影/田中智久)

アンミカさん(撮影/田中智久)


三谷幸喜さんの心温まる計らい

井上:そういえばアンミカさんは、結婚してどのくらい?

アンミカ:15年目になりますね。

井上:ぼくは1回だけ、20代の頃に結婚したことがあって14年続いたの。ウチよりも長いね!

アンミカ:順さんより先輩なことをひとつだけ、見つけました!

井上:あははは。

アンミカ:いまは再婚へのお気持ちがあったりはしますか。

井上:パートナーはずっといますよ。女性との時間が楽しみで毎日過ごしているようなぼくですし、せっかく生まれてきたんだからひとりじゃなく、人とかかわっていたいじゃない。もう随分長い関係になりますね。

アンミカ:お相手といい関係を築かれているのが伝わってきます。

井上:すごくいい刺激を与えてもらっています。年が30才くらい離れているんですよ。それもあって、ぼくにはない感性があるから話すと刺激になるし、「順さん、いまはこういう感じですよ」なんて世間の流行も教えてくれてね。

一緒にいると若い気持ちでいられるというのかな。彼女のためにも長生きしたいから、健康でいようと暴飲暴食もやめました。食べるのも、飲むのも、大好きなんだけどね。

アンミカ:私もお酒とのつきあい方を最近変えました。翌日に響いてベストなパフォーマンスができないと、お仕事をいただいたのに申し訳ないですし、自分をいたわれるのは自分だけですからね。

井上:本当だね。50代は体の変化が出始める年代ですよね。ぼくは50代半ばで耳にきました。最初は人の言葉が元気なく聞こえて、「ごはんをちゃんと食べているのかな」「最近の子はお腹から声を出さないんだな」なんて勝手に心配していたの(笑い)。ところが、耳鼻科へ行ったら感音性難聴と診断されて。「そうですか。じゃあ先生、治療をよろしくお願いしますね」とのんきに返事をしたら、「順さん、この難聴は治らないんです」と言われました。

アンミカ:こんなに会話を楽しまれる順さんが、望みがないと宣告されたお気持ちを思うと…。

井上:いつも明るいぼくだけど、さすがに落ち込みましたね。人と話をしても聞き返すのが億劫だし、何度も聞き返すのは失礼だと思って、だんだん自分から引くようになってしまったんです。

アンミカ:目の前にいらっしゃる順さんからは想像がつきません。

井上:そうだよね。ぼく自身もあるとき、“あれっ、井上順はこうやって引きこもる人間じゃないよな”とはたと気づいたの。それからはありのままの自分を受け入れて、気にせず「難聴でーす」とオープンにするようになったんです。

アンミカ:ご本人がカラッと語られたら、周りも声をかけやすいですね。

井上:実際、「順ちゃんは難聴だから大きな声で話しましょう」と気遣ってくださったり、事情を承知で「それでも出てもらいたいんです」とお仕事をいただいたり。難聴のおかげで人のやさしさに包まれて、勿怪の幸いというのかな、ありがたいと感じています。

アンミカ:三谷幸喜さんからも心温まるお計らいがあったそうで。

井上:NHK大河ドラマの『真田丸』(2016年)のときね。三谷さんから出てほしいと連絡をいただいて。「戦国時代に補聴器をつけた人がどこにいるのよ」と言ったら、「大丈夫、心配ありません」って。どういうことなんだろうと撮影に行ったら、頭巾をかぶった茶人役でした(笑い)。

アンミカ:三谷さんのウイットなやさしさがじわっと染みますね。落ち込む出来事でも順さんのようにその中から「LUCKY」や「HAPPY」を見つける目が持てたら、日々をもっと朗らかに過ごせそうです。私も講演などで「毎日あったいいことを書き留めて、自己肯定感を上げていきませんか」とよく話しているんです。悲しみやつらさではなくて、心が弾むうきうきを刻んでいきましょうって。

井上:そう、幸せな気持ちは自分が決めるものですよね。

井上 順さん(撮影/田中智久)

井上 順さん(撮影/田中智久)

 

記事のポイント!

50代で難聴と診断され一度は落ち込んだものの、自分の状態を受け入れて周囲にオープンにすることで、人との関係がより温かく変化していった実体験が語られています。聞こえにくさを抱えながらも前向きに日常を楽しみ、「幸せは自分で決めるもの」という価値観に至る過程が印象的で、難聴との向き合い方に新たな視点を与えてくれる内容です。

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原文掲載元はこちら 

 https://j7p.jp/167304

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