2026/5/17 05:10

骨伝導集音器を装着した犬(ソリッドソニック提供)
先端技術で飼い犬や飼い猫に関する悩みを解決する「ペットテック」が盛んになってきた。えさや飼育環境、動物医療の進歩による長寿化が背景。難聴犬用の集音器、3D撮影のデータで作るフィギュアなど、飼い主の深い愛情に応えようとする製品やサービスが登場している。(塩津あかね)
■犬用の集音器、3D撮影によるフィギュアなど登場
難聴の人向けに、頭蓋骨への振動で音を聞き取る「骨伝導」イヤホンを手がけるソリッドソニック(神戸市中央区)は、犬用の集音器を開発し、今秋にも供給を始める。
きっかけは、久保貴弘社長(46)が難聴者向けの体験会で、「わんちゃん向けはないの」と何回も聞かれたことだった。犬の難聴に特化した製品は見当たらなかった。国内で飼い犬の半数が7歳以上のシニア犬とされ、需要があるとみて、2022年末から鳥取大と共同で研究してきた。
犬は耳に物を入れると嫌がるため、首輪型にした。集音マイクと処理回路を内蔵し、取り込んだ音を増幅し振動として伝える。
あらかじめ飼い主が名前を呼ぶ声を登録しておき、その波形と実際の呼びかけが一致すると、集音マイクがオンになるようにした。マイクが音を拾うのは20秒間だけ。振動が常時伝わって犬のストレスになるのを避ける。
今年1月から購入型のクラウドファンディング(CF)で希望を募り、東京と大阪で製品のお試し会を開いている。愛犬が振り向く姿に「これまで何を言っても反応してくれなかったのに」と涙を流す飼い主もいた。久保社長は「ペットの家族化という一言では片付けられない深い愛情を感じる」と話す。
装着した犬の約8割が飼い主の呼びかけに応えられるようになった。反応がなかった犬は大半が14歳以上で、認知症の進行などが理由とみられる。お試し会は約60人がキャンセル待ちという。
製品供給に向け、久保社長は飼い主と犬の自然なコミュニケーションにこだわる。集音器側の課題として、音を拾いにくい飼い主の声の質と犬の名前がある。これを補うため、犬笛を同封し、集音器に音を登録しておく計画だ。
笛の音に反応して集音器がオンになり、飼い主の声が伝わる。リモコンを使えば確実にマイクを起動できるが、久保社長は「愛犬を家電のようには扱えない」と説明する。
CFは当初目標の100万円に対し、5月15日時点の応募総額は750万円を超えた。定価は7万9800円の見込みだが、早期に応募するほど割り引かれる仕組みにし、直近の価格は3万5650円。7月までCFを延長し、10月末に製品を届ける予定だ。
記事のポイント!
ペットの長寿化を背景に、飼い犬や飼い猫の悩みに応える「ペットテック」市場が広がっています。記事では、神戸の企業が開発する難聴犬用の骨伝導集音器を中心に、飼い主の呼びかけを振動として伝える仕組みや、犬へのストレスを抑える工夫が紹介されています。愛犬が再び呼びかけに反応する姿に涙する飼い主の様子からも、聞こえを支える技術がペットとの暮らしやコミュニケーションに与える意味が伝わる内容です。
関連ページ
聞こえが気になる方は、以下のページも参考にしてください。
今の聞こえの状態を簡単に確認したい方へ
▶ 聞こえづらいと感じたときのセルフチェック
難聴の原因や種類を整理したい方へ
▶ 難聴とは?(原因・症状・種類)
まず何をすればよいか知りたい方へ
▶ 聞こえづらいと感じたときの対処法
補聴器の基本を知りたい方へ
▶ 補聴器の種類と選び方
気になる症状がある場合は
聞こえに不安がある場合は、早めに耳鼻咽喉科への相談をおすすめします。
原文掲載元はこちら
https://www.kobe-np.co.jp/news/economy/202605/0020361624.shtml
