「手話使った演劇、魅力を感じて」、ろう学校卒業生らの劇団が「星の王子さま」上演

「手話使った演劇、魅力を感じて」、ろう学校卒業生らの劇団が「星の王子さま」上演

2026/01/23 12:10

 表現と言語に壁はない――。奈良県立ろう学校(大和郡山市)の卒業生らが中心の劇団「空の旅団」が24、25日、奈良市のならまちセンターで、手話、身体表現、視覚言語を組み合わせた手話パフォーマンス演劇で、サンテグジュペリの名作「星の王子さま」を公演する。主宰の綿井朋子さん(63)は「手話を使った演劇を通じ、手話そのものの魅力を感じてもらいたい」と話す。(池田光汰)

公演に向けて稽古に励む空の旅団の劇団員たち(10日、奈良市で)

公演に向けて稽古に励む空の旅団の劇団員たち(10日、奈良市で)


 奈良市総合福祉センターの体育館で10日、空の旅団の劇団員が、星の王子さまの公演に向けて、稽古に汗を流していた。聞こえてくるのは、演出の音楽と劇団員の足音のみ。劇団員の身体の動きや顔の表情、手話と舞台の後ろに投影されるセリフで全てを表現する。劇団員の流れるような手話と、豊かに変わる表情にひきこまれていく。

 手話パフォーマンス演劇は、聞こえる、聞こえないにかかわらず楽しめる舞台だ。綿井さんは同校の教諭として約30年教べんを執りながら、演劇部の顧問として、子どもたちと手話パフォーマンス演劇を行い、身体を使った表現の楽しさを伝えてきた。

 劇団を始めるきっかけは2021年4月、卒業生からの「再び舞台に立ちたい」という言葉だ。綿井さんは「手話が第一言語であるろう者にとって、会話は手を使うだけではない。表情やしぐさ、身体全体が言語になっている」。豊かな表現が必要な芝居との親和性を語り、「耳で聞いて理解する音声言語には表現できないものがあると思う」と語る。

 団長の井上綾さん(26)も、手話パフォーマンス演劇に魅せられたうちの1人だ。同校の演劇部で高校2年から手話パフォーマンスを始めた。「いつもと違う自分になれる」と、音のない世界で演じることにのめり込んだ。卒業後、高校での活動が忘れられず、同劇団に入ることを決めたという。

 劇団は今年4月で6年目を迎える。これまで県内を中心に各地で公演したり、手話体験会を行ったりして、手話言語の魅力を広めてきた。12人の劇団員それぞれに仕事や家庭があり、集まって稽古できるのは休日のみ。運営費もかかり継続するのは決して簡単なことではない。それでも綿井さんは劇団をできる限り続けるつもりといい、「ろう者は限られた文化。芝居を見てろう者の表現を知り、ろう文化に注目するきっかけになれば」と話す。

 入場料は中学生以上3000円、小学生1500円、未就学児は無料(前売り券は500円引き)など。前売り券は空の旅団ホームページの公演情報から23日まで申し込める。24日は午後6時、25日は午後1時の開演で、公演は約90分を予定。問い合わせ先はメール(skyparade41@gmail.com)。


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