攻めの卓球で世界を勝ち取る…念願のデフリンピックに初出場、木村亜美選手~

攻めの卓球で世界を勝ち取る…念願のデフリンピックに初出場、木村亜美選手~

2025/05/14 15:10
栗原守


 東京デフリンピック(読売新聞社協賛)に初出場を決めた、北海道江別市に住む木村亜美選手(27)。生まれつき聴覚に障害があり、日常的には人工内耳を装着して会話をしているが、外すと救急車や消防車が近くを通ってもサイレンの音が聞こえないという。デフ卓球では、打球音が聞こえないため、ボールのスピード感を聴覚に頼らず、視覚を集中させて試合に臨む。得意は攻めの卓球。力で相手を圧倒して、道を切り開いてきた。2025年4月下旬に、札幌市で練習する木村選手を訪ねた。(中部支社・栗原守)


23年に初の世界大会で金メダル

練習に打ち込む木村選手

練習に打ち込む木村選手


 「卓球を始めたのは4歳の時」と振り返る。兄と姉が小学校の放課後、卓球のクラブ活動をしていたのに影響され、ラケットを握った。大学に入るまでは手話を使うこともなく、聴者に囲まれて育ったという。20歳の時に、聴覚障害者のバドミントンをする友人と出会い、その時にデフリンピックを知り、出場を目指すようになったという。


 前回のブラジル大会(2022年)は、家族の事情もあり、卓球の練習に専念できずに断念したが、「東京大会こそ」と気持ちを固め、23年の世界ろう者選手権大会に出場。初の世界大会だったが、団体とダブルスの2種目で金メダルを獲得し、木村亜美選手の存在を大きく知らしめた。


練習成果を発揮できる楽しさ


 デフリンピック東京大会では、シングルス、ダブルス、団体、混合ダブルスの4種目での出場が決まっており、日本チームでメダル獲得が期待される一人だ。卓球の楽しさは、「積み上げた練習成果を発揮できた時にある」と話す。発揮して負けるのであれば「またがんばれるから」だという。その繰り返しで向上していけることが、何より楽しいという。

練習を重ねて大会優勝を目指す

練習を重ねて大会優勝を目指す


 日々の練習は、札幌市内の所属会社の練習場でコーチに指導を受けながら続けている。熱が入りすぎて体調を崩すこともあるので、「練習しすぎないようにしないと」と自戒しているほどだ。焦燥感に駆り立てられ、オーバーワークになってしまうのが「悪い癖」だという。


大会は「共生社会を体現」


 デフリンピック東京大会は、聴覚障害者としての木村選手にとっても大事な意味をもつ。「デフリンピックは共生社会を体現している」と考えるからだ。競技上で加えられる細かな配慮があれば、聴者と同様に活躍できるデフリンピックの試合は、目指す「共生社会」の姿に重なるという。「ぜひ援してほしいし、現地に見に来てほしい」と笑顔で話してくれた。

 木村選手のインタビューや練習の様子は、以下の動画で

木村選手のインタビューや練習の様子


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