救急対応「人任せにしない」 聴覚障害者、手話通訳を介して講習 心肺蘇生法やAEDなど

救急対応「人任せにしない」 聴覚障害者、手話通訳を介して講習 心肺蘇生法やAEDなど

2025/04/10 09:00
志垣直哉

通訳(中央奥)の手話を介して講師(右)の説明を聞きながら、体位を変える方法を学ぶ受講者=佐賀市の日本赤十字社県支部

通訳(中央奥)の手話を介して講師(右)の説明を聞きながら、体位を変える方法を学ぶ受講者=佐賀市の日本赤十字社県支部


 全国でも珍しい聴覚障害者向けの救急法講習会が6日、佐賀市の日本赤十字社県支部で開かれた。県聴覚障害者協会の会員が手話通訳を利用しながら、心肺蘇生法や自動体外式除細動器(AED)の使い方などを学んだ。

 会員6人が、倒れた人の体位を変えたり喉に物を詰まらせた時に取り出したりするための「赤十字救急法」に取り組んだ。座学では、手話通訳者は受講者が顔を上げたタイミングを確認しながら、時には講師の説明も止めて通訳した。

 実技では、AEDの指示が聞こえない場面もあり、講師が「液晶付きのAEDもある。ないタイプではランプを見て判断して」と対処法を具体的にアドバイスした。心臓マッサージが必要かどうか判断できない時も、不要なら傷病者が嫌がるそぶりを見せることなども伝えた。

 聴覚に障害がある北野幹尭(もとたか)さん(28)=大町町=が講習会に申し込んだことが開催のきっかけになった。北野さんは数年前、サガン鳥栖の試合を観戦した帰りにそばで倒れた人がいたが救急対応ができず、「聞こえる人だけに任せるのではなく、自分もできた方がいい」と受講を希望。他の会員と一緒に参加する形で同支部が実施した。

 講習を受け、北野さんは「コミュニケーションの部分で難しい面があると分かったが、身ぶりも使って他の人の協力も得たい」と話した。

 同支部によると、聴覚障害者の受講例は全国の日赤支部でも少なく、手探りで実施したという。災害のリスクが高まる中、馬渡幸秀企画・振興係長は「障害の有無にかかわらず多くの人が救急法を身に付ける意義は大きい」とし、「海外から来た人も含め、多様性に対応した講習のあり方を探っている。たくさんの人が受けやすくなる方法を考えたい」と話した。(志垣直哉)


リンク先は佐賀新聞というサイトの記事になります。


 

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