最近、耳が遠くなったかも…「難聴」の治療方法と「補聴器」について耳鼻科医が詳しく解説

最近、耳が遠くなったかも…「難聴」の治療方法と「補聴器」について耳鼻科医が詳しく解説

2025年9月24日 22時0分 Medical DOC

最近、耳が遠くなったかも…「難聴」の治療方法と「補聴器」について耳鼻科医が詳しく解説
「最近、耳が聞こえにくい」「補聴器って本当に効果があるの?」難聴の悩みは年齢を重ねるとともに多くの人が抱えるものです。実は難聴にはいくつかの種類があり、それぞれに合わせた治療法や対策があります。今回は、薬物療法から生活習慣の工夫、補聴器まで、専門家である丹羽先生に解説していただきました。

丹羽 克樹(狭山ヶ丘耳鼻咽喉科・アレルギー科)

監修医師:
丹羽 克樹(狭山ヶ丘耳鼻咽喉科・アレルギー科)

2005年3月防衛医科大学校医学部医学科卒業。陸上自衛隊入隊、防衛医科大学校耳鼻咽喉科学講座入局。陸上自衛隊幹部候補生学校卒業。北部方面衛生隊、自衛隊札幌病院耳鼻咽喉科、防衛医科大学校大学院、自衛隊中央病院耳鼻咽喉科医官、第15旅団宮古警備隊医官などを経て2022年9月陸上自衛官退官。2023年2月狭山ヶ丘駅前耳鼻咽喉科アレルギー科開院。


編集部

難聴の治療法について教えてください。

丹羽先生

それぞれの原因を見極め、最適な治療を選択します。 例えば、伝音難聴であれば「耳垢が詰まった」「外耳炎が悪化して耳の穴が狭くなっている」「中耳炎で中耳に液体が溜まった」などの原因が考えられます。

編集部

感音難聴についてはいかがでしょうか?

丹羽先生

こちらも原因を特定してそれぞれの治療をおこないます。例えば、原因として「メニエール病」があった場合にはメニエール病の治療をおこないますし、稀ではありますが脳腫瘍や脳梗塞が原因であればそちらの治療をおこないます。しかし、ほとんどの場合は内耳などの機能低下が原因であり、急性期はステロイドなどの薬物治療が有効な場合もありますが、それ以降の根本治療は困難です。進行を遅らせるための生活指導や、必要に応じて補聴器の装用や人工内耳(手術)が検討されます。

編集部

具体的には、どのような生活指導をするのですか?

丹羽先生

適度な運動や規則正しい睡眠、栄養バランスのとれた食事などを心がけ、騒音をなるべく避けて静かな環境に身を置くことなどをアドバイスしています。特にビタミンの摂取は重要で、ビタミン剤を服用するのであれば、水溶性ビタミン(ビタミンB、C)をおすすめしています。脂溶性ビタミンであるA、D、E、Kなどは、摂取し過ぎると害にもなりますので、気をつける必要があります。

編集部

補聴器についても教えてください。

丹羽先生

補聴器は、文字通り「聴覚を補うための医療機器」です。感音難聴は、空気の振動の一部を電気信号に変えられなくなり、脳に届く電気信号の量や質が悪くなります。したがって、補聴器からいくら自然で良い音が出ても、それを受け止めるセンサーの調子が悪いわけですから、脳に届く音はやはり質の悪い音になります。いわば「音は聞こえるけど言葉の理解ができない」という状態です。質が悪い音で言葉を理解するためには、補聴器を装用してからの聴覚リハビリが重要となります。

編集部

補聴器は、「集音器」とは違うのですか?

丹羽先生

補聴器はテレビなどの広告で販売されている集音器とは異なり、一人ひとりの状態に合わせて調整し、悪くなった脳へ届く電気信号の量を増やすことを可能にする医療機器です。また、単なる家電である集音器と異なり耳を守るように設計されています。具体的には、目の前で大きな音がした場合、集音器ではそのまま増幅してしまうため、「音響外傷」という難聴を助長する状況が生まれますが、補聴器は瞬時に大きすぎる音は小さくしてしまうので、耳は守られます。つまり、適切に調整した補聴器で難聴が進行することはありませんが、集音器では集音器による難聴が起こり得ます。

※この記事はMedical DOCにて【「補聴器」は耳鼻科で買った方がいい理由はご存じですか? つける判断基準やタイミングも医師が解説!】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。


リンク先はMedical DOCというサイトの記事になります。


 

ブログに戻る

コメントを残す