気付かぬうちに聴力低下…「イヤホン難聴」の恐ろしさとは? 医師に聞く“音響機器の正しい使い方”

気付かぬうちに聴力低下…「イヤホン難聴」の恐ろしさとは? 医師に聞く“音響機器の正しい使い方”

2025.09.20
著者 : オトナンサー編集部
アドバイザー : 五藤良将(ごとう・よしまさ)


「イヤホン難聴(ヘッドホン難聴)」の症状や対策などについて、耳鼻科・総合診療医に聞きました。

イヤホンとヘッドホン

イヤホンやヘッドホンの使い方を間違えると難聴になるリスクも

 外出時にイヤホンやヘッドホンを使用している人は多いと思います。ただ、中にはイヤホンやヘッドホンの使用時に大きな音量で音楽などを聴いたことが原因で「イヤホン難聴(ヘッドホン難聴)」と呼ばれる症状に陥った人もいるようで、注意が必要です。SNS上では「最近、耳聞こえにくいんだけどイヤホン難聴ってやつ?」「イヤホンを使い過ぎたら耳を痛めます」「イヤホンを長時間付けていると、耳が痛いのとかゆいのが気になります」などの声が上がっています。イヤホン難聴の症状や予防法などについて、耳鼻科・総合診療医の五藤良将さんに聞きました。


大音量で音楽を聴かないこと


Q.そもそも、「イヤホン難聴(ヘッドホン難聴)」とはどのような症状ですか。

五藤さん「イヤホン難聴(ヘッドホン難聴)とは、イヤホンやヘッドホンなど、耳をふさいだ状態で長期間、音楽や大きな音を聞き続けることで、聴覚がダメージを受け、少しずつ聴力が落ちてしまう病気です。

近年はスマホやポータブルプレーヤーで音楽を聴いたり、テレワークやコワーキングスペースで使用したりと、生活や働き方の多様化などによってイヤホンやヘッドホンを長時間使用する人が多くなっています。WHO(世界保健機関)は、特に若年層の半数程度が難聴やそれに近い状態にさらされている可能性があると発表しているほどです。

難聴の怖いところは、聴力がガクンと急激に落ちるわけではないことから、本人がなかなか自覚できないという点にあります。何となく最近、話し声や音楽が聞こえづらいかもしれないなと感じ始める頃には、実は難聴の症状が進行していたというケースも少なくありません」


Q.イヤホン難聴と診断された場合、治療法や対処法はありますか。

五藤さん「聴力を回復する手段は現代の医療では確立されておらず、日常生活で聞き取りが難しくなってしまった場合は、補聴器を使用する形となります。難聴は早期に発見し、治療を進めるのが一番なので、今までと比べて、少しでも聞こえ方に違和感を覚えたり異変を感じたりした場合は、医療機関を受診するのを推奨します」


Q.イヤホン難聴にならないようにするためにはどうすればよいのでしょうか。注意点について、教えてください。

五藤さん「イヤホンやヘッドホンで音を聴くこと自体が難聴を招くのではなく、難聴の大きな要因は『音の大きさ』と『長時間利用』です。イヤホン難聴(ヘッドホン難聴)と診断された人は多くの場合、大きな音量で、かつ休憩を挟まずに長時間、音を聴いています。

そのため、イヤホンやヘッドホンを使用する際は、周囲の音が聞こえる程度の音量に抑え、意識的に休憩を挟みつつ、耳を休ませる習慣を作るのがイヤホン難聴に関する最も効果的な対策です。どうしてもイヤホンやヘッドホンで音声を聴く際は、周囲の音が雑音として耳に入るため、音量を上げざるを得ないというケースもあるかもしれません。そのような環境にいることが多い人は、ノイズキャンセリング機能が付いたイヤホンやヘッドホンを選んでみてはいかがでしょうか」

* * *

 イヤホンやヘッドホンの使用時に周囲の音が聞こえないほど音量を上げてしまうと、耳に大きな負担をかけます。音楽鑑賞やオンライン会議などで長時間、イヤホンやヘッドホンを使用する機会が多い人は、適度な音量と意識的な休憩を心掛けると、難聴対策につながるということです。オーディオ機器の使い方を見直してみてはいかがでしょうか。

 

五藤良将(ごとう・よしまさ)

医療法人社団五良会 理事長/竹内内科小児科医院 院長/耳鼻科・総合診療医
防衛医科大学校を首席卒業後、自衛隊医官として国内外の医療現場で小児から高齢者まで幅広い患者の診療に従事。日本内科学会認定内科医、日本抗加齢医学会専門医、日本温泉気候物理医学会温泉療法医、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医など多数の専門資格を有する。
竹内内科小児科医院では、小児科・内科の両面から乳幼児健診、予防接種、発達や生活習慣に関する相談まで幅広く対応。地域の学校医・園医としても長年子どもの健康を見守っている。
テレビやラジオ、新聞、雑誌、ウェブメディアなど多数出演し、Yahoo!ニュースや東洋経済オンラインなどで医療監修を務める。わかりやすく、正確で信頼できる健康情報の発信を心掛けている。

(オトナンサー編集部)


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