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【特集】音が変える行動と聞こえの科学 ~「聞こえる」から「心に届く」防災へ~

2026.06.0207:28
報道特集・ドキュメント

 

スピーカー搭載ドローン

スピーカー搭載ドローン

TOA システムインテグレーション部 エンジニアリング本部 土橋大介さん

TOA システムインテグレーション部 エンジニアリング本部 土橋大介さん

音域を調整し明瞭性を高める「音声明瞭化技術」

音域を調整し明瞭性を高める「音声明瞭化技術」

宝塚市は浸水想定区域・土砂災害警戒区域中心に45カ所にスピーカーを設置

宝塚市は浸水想定区域・土砂災害警戒区域中心に45カ所にスピーカーを設置

TOA 井東輝樹 広報室長

TOA 井東輝樹 広報室長

関西大学 社会安全学部 近藤誠司教授

関西大学 社会安全学部 近藤誠司教授

TOA コネクテッドビジネス部 開発本部 松井智哉さん

TOA コネクテッドビジネス部 開発本部 松井智哉さん

危険を伝えようとする熱意や思いが聞き手の心に届くかどうか左右する

危険を伝えようとする熱意や思いが聞き手の心に届くかどうか左右する

 

災害時の防災無線、雑踏の中の案内放送。

「何を言っているのか、よく分からない」こんな経験はありませんか?

正しく情報を伝えるために、音とことばを科学する研究が進んでいます。

その現場を取材しました。

さまざまな雑音が飛び交う中で流れる案内アナウンス。

同じ放送でも環境によって聞こえ方は大きく異なります。

神戸市中央区に本社を置く音響・セキュリティメーカーTOA。

この会社では地震などの災害時に、「正しく情報を伝える」ためさまざまな観点から研究が進められています。

TOA システムインテグレーション部 エンジニアリング本部 土橋大介さん

「聞き取りづらくなる状態というのは、騒音の大きさで70デシベル以上といわれていますが、騒音が大きくなると音がなんとなく鳴っているとしか理解できない」

この表のように、走行中の自動車内や電車内などでは、一定の騒音レベルを超えると大声での会話が必要となり、不快に感じるとされています。

TOA 土橋大介さん

「音量が大きくなるので聞こえるようにはなりますが、不快な音として伝わってしまうと考えられていて、声は聴こえるがうるさく感じてしまいます」

高齢者が聞きやすい音の研究を長年取り組むこの会社では、騒音の中でも聞き取りやすくするため、音量ではなく、音域を調整し明瞭性を高める、「音声明瞭化技術」を開発しています。

雑音の中でもアナウンスをはっきりと聞くことができます。

TOA 土橋大介さん

「内容が理解できるというところまで音声を伝えないと、その先にその方が聞いて行動していただくことが難しくなると思っています」

宝塚市では、防災行政無線のスピーカーに音声明瞭化技術を導入し、毎月、訓練放送を実施しています。

宝塚市 都市安全部 総合防災課 東和宏さん

「市内の浸水想定区域および土砂災害警戒区域中心に45カ所に設置しています」

市では、防災無線に加え、防災情報アプリ「コスモキャスト」を導入。

音声だけでなく、文字でも伝えることで、より確実に情報を届ける取り組みを進めていて、市民に登録を呼び掛けています。

宝塚市 東和宏さん

「宝塚市のホームページや毎月の広報誌で周知啓発を行っています。この機会にぜひ皆様ご登録よろしくお願いします」

さらに、空から音を届ける試みも。

神戸市では、スピーカーを搭載したドローンで、避難誘導を想定した訓練が行われています。

人が少ない孤立した地域など届きにくかった場所にも、直接、音で情報を届ける新たな手段となります。

TOA 井東輝樹 広報室長

「音が届くということは重要ですが、届いた先に人々がそれを聞いて、行動に移していただくというところまでできてこそお役に立てるものだと思っています。フェーズフリーな形でつながっていくことで、さらに領域を押し広げていきたいと考えています」

災害時の情報伝達でもうひとつ重要なのが「伝える内容」です。

災害情報研究の専門家は、異常が起きたことを、短く、シンプルに「今すぐ何をすべきか」を伝えることが最も重要だと指摘します。

関西大学 社会安全学部 近藤誠司教授

「素早く行動に移してもらう必要がありますから、ひとつのセンテンスの中で情報をいっぱい詰め込むのではなくて、シンプルに端的に何をすべきかというのをまず伝える必要があると思います」

では、どんな言葉であれば人は動くのでしょうか。

ヒントとなるのが、行動経済学を活用した事例です。

京都市では、タクシーの客待ちによる渋滞対策として、設置する看板を両面異なる内容に変えたところ、違法駐車が約88%減少しました。

これは良い行動を促す人間の心理的特性を利用しています。

AIを活用した文章開発に携わるTOAの担当者は、損得勘定や社会規範といった人間の心理に働きかけ、「今すぐ行動すべきだ」と感じさせることが重要だと話します。

TOA コネクテッドビジネス部 開発本部 松井智哉さん

「避難誘導関連で言いますと、現在バイアスというものがありまして、より今行動してくださいといったような要素を入れる。周りの皆さんがこういう行動をしていますよと促してあげることで、自分も行動しなきゃと思わせる」

近藤教授は、行動を促すためには普段より声を大きく・強くすることで異変に気付かせることが重要だといいます。

関西大学 近藤誠司教授

「普段とは違うことが起きているんだというのを察知してもらうためには、伝える側は一段声を少し強くする 声を高くするというような工夫もあっていいと思います」

近年、AIの発達でさまざまな音声が作られるようになっていますが、人を動かす伝え方に必要なのは、技術だけではありません。

危険を伝えようとする熱意や思いが聞き手の心に届くかどうかを左右します。

TOA 土橋大介さん

「熱意・情熱がかぶさって音が届いていくので、いかに音を電気音響的に届ける領域までいけたとしても、その先は話し手の皆さんの創意工夫と気持ちが最後は届いていくと思っています」

 

記事のポイント! 

災害時の放送は、音が届いていても、雑音や環境によって内容が聞き取りづらくなることがあります。記事では、騒音の中でも言葉を明瞭に伝える技術や、防災無線・ドローンを活用した情報伝達の工夫を紹介しています。さらに、人がすぐに行動できるようにするためには、音量だけでなく、言葉の短さ、伝え方、話し手の思いも大切であることが分かります。

関連ページ  

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▶ 聞こえづらいと感じたときのセルフチェック

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▶ 補聴器の種類と選び方

 

気になる症状がある場合は  

聞こえに不安がある場合は、早めに耳鼻咽喉科への相談をおすすめします。 


原文掲載元はこちら 

 https://www.sun-tv.co.jp/suntvnews/news/2026/06/02/94772/

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