聴覚情報処理障害(APD)とともに生きる、理解と工夫の大切さ。

聴覚情報処理障害(APD)とともに生きる、理解と工夫の大切さ。

竹内成彦 心理カウンセラー(公認心理師)
8/22(金) 21:47

アルファベットとそれを聞く男性の耳


こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。


APD(聴覚情報処理障害)とは、聴覚や知的能力には問題がなくても、
脳で、音や言葉の情報をうまく処理できないことで起こる障害です。

APDの人は、聞こえているはずなのに、内容がわからなかったり、電話での会話が特に苦手だったりすることがよくあります。反対に、読書などの文字で情報処理をすることは得意なことが多いです。

APDの人は、言葉による指示だけでは、理解することが困難です。
APDの人は、騒がしい居酒屋で、隣の人と上手く会話をすることができません。
APDの人は、オーディオブックを聴き、その内容を上手く理解することができません。

APDの人は、自分で内容をメモしたり、目で見ながら理解していくことが多いです。
これは、音としての情報だけでは認識しづらいため、視覚的な情報を使って補っているからです。

日本では、APDの人は約100人に1人、約0.5%から1%くらいと考えられています。 非常に珍しいとまで言えるほどの障害ではなく、実際に多くの人がAPDの症状と向き合いながら日常生活を送っています。また、多くの場合、発達障害(ADHD)などと一緒に診断されることも普通です。

APDの人の生活を楽にするためには、日常の環境を工夫することが重要です。
騒がしい場所を避けたり、静かな場所で会話をしたりするのが良いでしょう。 相手の顔を見ながら話すことで、話し手の表情や口の形から情報を得ることができ、理解しやすくなります。

また、話す側にも協力してもらうと良いでしょう。
ゆっくりハキハキ話したり、大事な内容は文字で渡してあげると良いでしょう。
APD本人は、重要なことはメモを書いて守る習慣をつけると良いでしょう。スマートフォンのメモ機能などを活用するのも便利です。

APDの人は、集中を必要とするため、疲れやすいのが特徴です。
社会全体としては、APDについての考え方、本人が安心して生活できる環境を作ることが求められます。学校や職場では、騒音を減らす工夫や、話し方や情報伝達の方法を工夫すると、APDの人が能力を発揮しやすくなるので良いでしょう。こうやって、支援の輪を広げることで、より多くの人が生活しやすい社会を目指せます。

APDを持つ人は、自分に合った工夫や補助を日々探しながら生活しています。
私のカウンセリングルームに通われているクライアントは、相手が話している内容を、頭の中に映像を描いて、それを見ながら理解するようにしているとのことです。とても賢い工夫のひとつだと思います。

APDは、現代の医学では、完全に治す方法がありません。
しかし、日々の生活の工夫と周囲の支援によって、不安ごとを減らし、生活の質を上げることは十分に可能です。APDを持つ人が暮らしやすい社会を作るため、本人と周囲の人がその特性をよく理解し、優しい助けが広がることが期待されています。私と一緒に、APDの人が自分らしく安心して生活できるような環境づくりを進めていきましょう。


今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。

この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。


竹内成彦

心理カウンセラー(公認心理師)
1960年、愛知県名古屋市で生まれ育つ。1997年06月、地元愛知でプロのカウンセラーとして独立開業を果たす。カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋 の室長。臨床歴25年、臨床数15,000件を超える。講演・研修回数は800回、聴講者は10万人を超える。【上手に「自分の気持ち」を出す方法】など、電子書籍を含め、20数冊の本を出版している。カウンセリング講座などを開催し、カウンセラーを育てることにも精力を尽くしている。


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