2026/01/22 17:40

手話を学びたいと思う主人公・小林朋子(c)2025 akanedeaf
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は聴覚障害・ろうをテーマにした漫画を描くあかねさんに注目し、以前X(旧Twitter)に投稿された『手話を知らなかった子ども』をご紹介しよう。
同作は、幼少時に失聴した聴覚障害者である主人公の幼少期からの日々を描いた一作。以前あかねさんのXにポストされると、7000を超える「いいね」が寄せられている。そこで作者のあかねさんに、同作を描いたきっかけについて話を伺った。
耳が聞こえないなかで通常の小学校に転校…

『手話を知らなかった子ども』(3/20)(c)2025 akanedeaf
幼少期に医者から「耳が聞こえていません」と診断され、その後にろう学校に入学する主人公・小林朋子。似た境遇の生徒に囲まれて朋子は楽しい学校生活を過ごしていたが、母は学校でまったく声を出さない娘を見て「こんなのでちゃんと育つの?」と感じるように。そして、母は朋子を通常の学校に転校させ…。読者からは「詳しく知らない世界だったから勉強になった」「本当に朋子が手話に出会えて良かったと思った」などの声が上がっていた。
「耳元で大きな声で話せば分かる」は逆効果?

『手話を知らなかった子ども』(7/20)(c)2025 akanedeaf
――『手話を知らなかった子ども』を描くに至った経緯をお教えください。
今回のお話は、1960~70年代頃に子ども時代を過ごした聴覚障害者の実体験がもととなっています。私は幼少期から手話のある環境で育ったため、初めてお話を伺った時はとても衝撃でした。それと同時に、実際にこういうことがあったんだということをより多くの人に知ってもらいたいと思い、その方に漫画にする許可をとってアレンジを加えて描きました。
数十年前は手話に対する理解が今ほどなかったため、この方のように耳が聞こえず音が聞き取りづらいのに親や家の考えにより、ろう学校に通わせてもらえなかった聴覚障害者は少なくなかったのではと思います。耳が聞こえないため周囲とスムーズにコミュニケーションを取れず、孤立してしまう聴覚障害の子どもがいたという事実を知ってほしいという思いも込めてこの作品を描きました。
聴覚障害・ろうをテーマにしたお話を描き始めたきっかけは、耳が聞こえない自分が実際に体験したことをもとに聴覚障害者視点の漫画を描いたら面白そうだと思ったからです。もともと漫画を描くのが好きで、漫画なら聴覚障害のことをよく知らない人でも読んでもらいやすいと考え、描き始めました。
――描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあれば教えてください。
主人公がろう学校から聞こえる学校(普通の学校)に転校した時、他の子どもからいろいろ何かを言われるシーンにて。他の子どもから発せられるセリフは一見ぐちゃぐちゃの文字ですが、よく見るとなんとなく言ってることが分かるようになっています。
分かるようでわからない。全ての聴覚障害者がそうというわけではありませんが、私は普段そのような感覚で過ごしています。注意深く相手の口の形を見て、声を聞いてよく考えたら言ってることがなんとなく分かるかも。でも結構頭を使うし集中力がいるから疲れる… その感覚を漫画でも表現してみました。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共に教えてください。
専門学校に進んで自分と同じ聴覚障害者と出会い、筆談で手話を教えてくださいとお願いするシーンが気に入ってます。それまで手話とは縁のない世界で生きてきた主人公にとって、初めて(久しぶりに)自分と同じ聴覚障害者と出会えた。手話を知らないけどお話ししたい。だから確実に伝わる筆談というコミュニケーション手段でお話をするという主人公の一生懸命な気持ちが伝わってくるシーンかなと思ってます。
――大変恥ずかしながら同作で「ろう」という言葉を初めて知りました。あかねさんが感じる、意外と多くの人に伝わっていない聴覚障害やろうに関することがあればぜひ教えてください。
聴覚障害は耳が聞こえない・聞こえにくい状態のことをいいます。「ろう」は聴覚障害の中で、音声言語を獲得する前に失聴し、手話を第一言語としている状態のことを指す言葉です。漢字では「聾」と書きます。
朋子のように幼少時に失聴し、手話を知らずに音声言語で育った耳が聞こえにくい方は「中途失聴者」あるいは「難聴者」と呼ばれることがあります。
聴覚障害・ろうに関することでよくある誤解は、「耳元で大きな声で話せば分かる」というものです。ほとんどの聴覚障害者からしたらそもそもの音が歪んで聞こえる感じなので、耳元で大声で話されても歪んだ音がさらに大きくなっただけで言われた内容は分かりません。
私の場合ですが、聞こえる人の話を聞く時は「こう言ってるのかな?」と内容を予想しながら声を聞き、口の形を読み取ることでほんの少しだけ内容がわかります。そのため、全く予想してなかった内容や突然話題が変わったりするとさっぱりわからなくなります。ですが、やはり分かるのはほんの少しなのと、文章が長くなるとついていけなくなるので、最初から文字起こしアプリに頼るか筆談で会話するほうが私にとっては楽でありがたいです。
もし聴覚障害者とお話をする機会がありましたら、その際は手話、指文字、口を大きくはっきりと動かしてゆっくり話す、筆談、身振り手振り、文字起こしアプリ…など、その方に確実に伝わる方法でお話をすることを意識してくれたら嬉しいです!
――読者へメッセージをお願いします。
今後も聴覚障害・ろうをテーマにしたお話を描いていく予定です。自分を含む耳が聞こえない人たちのリアルの声を漫画を通して伝えていき、読んでもらうことで聴覚障害・ろうの人たちのことを知ってもらえたらとても嬉しいです。
【漫画】「手話を知らなかった子ども」を最初から読む
この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。
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