2025.08.13 19:05(Updated:2025.08.13 19:05)
前田 泰子 / 記者

◆第107回全国高校野球選手権・2回戦 神村学園0―1創成館(13日、甲子園)
神村学園の茶畑颯志(3年)が7回に代打で出場した。6番西原唯吹(同)が中前にチーム初安打を放ち2死一塁の場面だったが中飛でチャンスを広げられず「チームを勝たせたかった」と少し悔いの残る初打席となった。
茶畑は先天性の難聴で幼いときに人工内耳を埋め込む手術を受けた。左耳は聴力があるが右耳はほとんど聞こえていないという。「自分は野球はやれないと思っていた」というが、兄の影響で小1のときにソフトボールを始めた。「野球が楽しくなった」と野球の魅力にとりつかれ、中学では硬式クラブでプレーした。「地元から甲子園に行ける学校でやりたい」と九州でもトップクラスの神村学園へ進学。入学したときに小田大介監督がチームのみんなに茶畑の聴力について説明。チームメートは声の代わりにジェスチャーを大きく取るなど工夫し、茶畑とコミュニケーションを取った。寮でも「友達としゃべって笑い合うのが好き」とチームメートの会話が楽しいという。
「入学したときはレベルが高いので不安だった」と言うが、持ち前の努力で2年秋から控え捕手としてベンチ入りし、今春の九州大会では代打で出場した。甲子園で念願のベンチ入りを果たした茶畑を支えてきたのは「障がいを持っている人にやればできるんだって自分の姿を見せてたくさんの人に勇気を与えたい」という思いだった。
甲子園出場という夢をかなえた茶畑の1打席はきっと多くの人に勇気を与えるだろう。(前田泰子)
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