障害者スポーツ 選手の活躍どう振興に生かす

障害者スポーツ 選手の活躍どう振興に生かす

2025/09/28 05:00

 障害者スポーツに挑む選手たちの活躍が目立っている。競技の魅力を広く知ってもらい、振興につなげていきたい。

 テニスの全米オープン車いす部門男子シングルスで今月、小田 凱人  選手が優勝し、四大大会とパラリンピックを制する「生涯ゴールデンスラム」を最年少の19歳で達成した。

 日本人選手では、引退した国枝慎吾さんに続く快挙だ。車いす部門女子では、上地結衣選手が3度目の優勝を果たした。日本勢の強さが際立っている。

 聴覚障害がある男子円盤投げの湯上剛輝選手は、今月東京で開かれた陸上世界選手権への出場を果たした。湯上選手は、聴覚障害者の国際大会デフリンピックのメダリストで、健常者とも互角に戦える実力があることを示した。

 いずれも多くの人に感動と勇気を届ける活躍だ。卓球の全日本選手権のように、身体障害者、聴覚障害者、知的障害者の出場枠をそれぞれ設け、健常者と競い合っているケースもある。

 小田選手は全米の決勝後、「もっとでかいステージでこういう試合をしたい。楽しんでもらえる自信はある」と語った。車いす部門の決勝は、健常者の決勝より観客席の少ないコートで行われた。

 障害者スポーツへの関心をどう高めるかが課題だ。健常者のスポーツとは別物だと考えるのではなく、スポーツの一つのジャンルだと捉える人が増えるといい。

 スポーツ庁によると、過去1年間にスポーツをした20歳以上の障害者は32・8%にとどまっている。障害の程度や体力の問題から、意欲はあっても最初からできないと思っている人も少なくない。

 選手たちの頑張りを見て、自分もやってみたいと思う人は、できることから少しずつでも取り組んでみてはどうだろう。

 スポーツ庁長官に10月、パラリンピック競泳の金メダリストで全盲の河合純一氏が就任する。「パラリンピアンがこういう役職に就くのも時代の変化だ」と語った。誰もがスポーツを楽しめる社会を作る先頭に立ってほしい。

 11月には、デフリンピックが日本で初めて開催され、東京を中心に、各国から聴覚障害のある選手らが多数参加する。

 ただ、デフリンピックについて知っている東京都民は、昨年の調査で39%だったという。大会では、陸上や水泳など21競技が行われ、観覧場所がない射撃以外は無料で観戦できる。この機に足を運び、魅力を実感してもらいたい。


リンク先は讀賣新聞オンラインというサイトの記事になります。


 

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