「音のないサッカー」の世界とは? 〝デフリンピック金メダル〟を決意する2人

「音のないサッカー」の世界とは? 〝デフリンピック金メダル〟を決意する2人

2025年7月28日(月) 20:09
国内

湯野琉世選手と中尾悠人選手

聴覚障害者のスポーツの祭典デフリンピックが、11月に日本国内で初めて開催されます。

デフリンピックとは、「耳が聴こえない」という意味の英語「デフ」と「オリンピック」を組み合わせた造語で、耳が聞こえない、聞こえにくいアスリートによる国際大会です。

「デフサッカー」日本代表

そのサッカー、「デフサッカー」日本代表は、現在、世界ランク4位に位置しています。

中尾悠人選手
湯野琉世選手

2025年のサッカー天皇杯にも出場した社会人クラブチームに、デフサッカー日本代表候補が2人います。

アジア大会でプレーする湯野琉世選手

そのひとり、熊本県八代市出身の湯野琉世選手(25)は、これまでも日本代表の中心選手として、2023年の世界選手権で銀メダル、2024年のアジア大会では金メダルを獲得するなど実績は十分です。

湯野琉世選手

湯野琉世選手「これまでデフサッカーを築き上げてきた先輩達のおかげでもあるので、感謝しながらこれからもメダルを取り続けることが恩返しにもなる」

補聴器を外してプレー
5人いる審判が笛だけでなく旗も使って様々な方向からそれを伝える

デフサッカーは「音のないサッカー」とも言われますが、試合中、選手たちは補聴器を外してプレーをし、もし反則があれば、5人いる審判が笛だけでなく旗も使って様々な方向からそれを伝えます。

一般的なサッカーとの違いはこれだけで、ルールも、ピッチの広さも同じです。

プレー中は視覚からの情報が頼り

プレー中は視覚からの情報が頼りです。

湯野琉世選手「5秒に1回くらいはベンチの監督の方を見る。見て、何か指示があるかなと。ゴールキーパーからの指示もないか、みんなが確認して常に周りを見てコミュニケーションを取っている」

デフサッカーが盛んなドイツで武者修行

湯野選手は、6月まで1年半の間、デフサッカーが盛んなドイツで武者修行をしてきました。

湯野琉世選手「体つきも大きいし、日本のデフサッカーのレベルとは全然違う。目の前のボールに対する目つきも違う」

手話の違いも経験
また、手話の違いも経験しました。手話には国際手話やそれぞれの国ごとの手話があり、日本の手話はほとんど通じないのです。

ドイツの手話の場合は【これ】がビール。

湯野琉世選手「日本では【これ】がビールなんですが、国際手話やドイツの手話の場合は【これ】がビール。ドイツはビールがすごく有名なので、行こう!みたいな試合終わった後みんな飲んでいるので、ちょっと疲れているからと断ることも・・・」

所属企業などでは、耳の不自由な人への理解を推進するイベントも開いている

湯野選手は、企業とアスリート契約を結び、母校の練習にも参加するなどサッカーに専念できる環境に身を置いています。その上で、所属企業などでは、耳の不自由な人への理解を推進するイベントも開いています。

湯野琉世選手「社内のイベントの企画なども担当していますが、僕にとって1番できることと言えば結果を出すことだと思うので、デフリンピックではメダルを絶対に獲って会社のみなさんに報告できるように頑張りたい」

中尾悠人選手

一方、代表経験豊富な湯野選手と対照的なのが熊本市在住の中尾悠人選手(24)です。なんと2024年にデフサッカー歴わずか半年で日本代表に選ばれた、身長190cmの大型DFです。

中尾悠人選手

中尾悠人選手「このサイズが日本人にはいないというところが代表入りできた理由で1番大きいかと」

「軽度の難聴」として耳が聞こえにくかった高校までは、耳の不自由がないメンバーと一緒にプレーしていました。ところが、20歳を過ぎてから当時の職場環境が原因で急激に聴力が低下したといいます。一時は競技から離れましたが、2024年、熊本で生活をスタートさせると同時に、再びピッチに戻りました。

中尾悠人選手「声ではなく、手話や視覚での情報で仲間とコミュニケーションが取れることが面白いなと感じました」

補聴器をつけた中尾悠人選手の横顔

中尾選手は働きながらデフリンピックを目指しています。二級建築士を持ち、住宅総合メーカーの正社員として設計の管理・補佐を担っています。

中尾悠人選手「建築も好きで、サッカーも好きで、どっちも好きなことができていると思いながら日々取り組んでいるので、大変は大変ですがそれも楽しみながらやっています」

中尾選手の上司「自分たちの仲間からいろんなことを手がける人が出るというのは誇らしいと思う。デフリンピックはみんなで有休を取って行きます!」

デフサッカーが自分の居場所となり、自分を表現できる場所だと、2人は口を揃えます。まずは、日本代表入りを確実なものとし、その先の11月のデフリンピックで金メダルを目指します。

湯野琉世選手と中尾悠人選手


中尾悠人選手(24)「自分の力を限界まで出し切れるように、練習からもっと頑張りたい」
湯野琉世選手(25)「メダルを獲ることと、耳の聞こえない子ども達に夢や感動を与えられるように、頑張ってプレーしたいです」
2人で「応援よろしくお願いします!」


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