鼓動よ届け!…聴覚障害者の和太鼓グループが結成30年の記念公演開催へ

鼓動よ届け!…聴覚障害者の和太鼓グループが結成30年の記念公演開催へ

2025/05/08 12:30

30周年記念公演に向けて練習に励む天手鼓舞のメンバー(広島市東区で)

30周年記念公演に向けて練習に励む天手鼓舞のメンバー(広島市東区で)

 聴覚に障害のある人たちの和太鼓グループ「天手鼓舞てんてこまい 」(広島市東区)が18日、昨年迎えた結成30周年を記念する公演を広島市で開く。音が聞こえなくても、メンバー同士のアイコンタクトや体に伝わる太鼓の振動を頼りに、息の合った演奏で観客を魅了する。(柴山倫太朗)


毎週稽古


 ドンドコドン――。広島市東区の市心身障害者福祉センター3階にある音楽室から重低音が響く。天手鼓舞のメンバー7人が太鼓の前で脚を開いて腰を落とし、両手のばちを打ちつけて汗を流した。

 天手鼓舞は1993年、市内で開かれた全国要約筆記問題研究会の大会で、有志6人が和太鼓を演奏したのをきっかけに、94年に太鼓で音を表現する楽しさを知った難聴者や中途失聴者らで結成。今は県内の30歳代~60歳代の約30人が所属し、毎週土曜に同福祉センターなどで稽古を重ねている。代表で記念公演の実行委員長を務める桐田孝美さん(51)(広島市安芸区)は「節目の公演。悔いなく全力で太鼓をたたきたい」とばちを握る手にいっそう力がこもる。


アイコンタクト


 桐田さんは生まれつき音が聞こえず、左耳に補聴器を付けて、普段は熊野町役場で事務作業などをしている。天手鼓舞のメンバーだった公務員男性と出会ったことをきっかけに「音が聞こえなくても、こんなに感動する演奏ができるんだ」と知り、99年に加わった。

 音が聞こえないことは本来、演奏で音を合わせる難しさをもたらす。そこで練習で重要になるのは、相手の目を見るアイコンタクトという。「音が聞こえない分、互いに見合うことでリズムや音を合わせることができ、気持ちも伝わる」と桐田さんは語る。アイコンタクトのほかにも、腹への響きや太鼓をたたく時の動きも頼りにしてタイミングを計っている。


何でもできる


 公演には多くの聴覚障害者も観客として来る予定という。桐田さんは「耳が聞こえなくても、がんばれば何でもできるんだという希望を与えられるような演奏を届けられたら。私たちの30年間の気持ちを込めて演奏する」と意欲を燃やす。

 公演は18日午後1時30分~4時頃、広島市中区加古町の「JMSアステールプラザ」であり、全11曲を演奏する。入場料は1000円(中学生以下無料)。問い合わせは天手鼓舞(090・5376・1271)へ。


リンク先は讀賣新聞オンラインというサイトの記事になります。


 

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