40代の頃、モスキート音がまったく聞こえず、聴力の低下を実感した菊池桃子さん。「聞こえにくい」を放置しないで、会話も笑顔も増える補聴器の正しい選び方は?

40代の頃、モスキート音がまったく聞こえず、聴力の低下を実感した菊池桃子さん。「聞こえにくい」を放置しないで、会話も笑顔も増える補聴器の正しい選び方は?

2024年10月15日

俳優・歌手の菊池桃子さんと補聴器メーカー・マキチエの平松知義社長

年齢を重ねるとともに、聴力も徐々に衰えていくもの。しかし、「年だから仕方ない」と聞こえにくさを放置していると、全身の健康にも大きな影響を与えかねません。俳優・歌手の菊池桃子さんが、補聴器メーカー・マキチエの平松知義社長から〝よりよい聞こえ〞を保つ方法を学びます


難聴の原因は加齢以外にも


菊池同居している87歳の母が、6年前から補聴器を使っています。きっかけは、聞き返しが多くなったこと。「もっとはっきりしゃべってほしい」と言われ、私の口の動きを読み取って会話する様子も見られたので、一緒に病院へ行きました。

平松補聴器を使うようになり、お母様に変化はありましたか?

菊池「よく聞こえる」と喜び、悩みごとがひとつ消えたように表情も明るくなって。その様子を見て、もっと早く聞こえの不調に気づいてあげればよかったと思いました。

平松補聴器を使い始めて、「なぜ今まで躊躇していたんだろう」と後悔される方は、とても多いんです。データによると、補聴器が必要だと感じる平均年齢は72歳※。でも、その時点で聴力低下はかなり進んでいます。聞き逃しや聞き返しが多くなった、テレビの音が大きくなったなどの兆候が見られたら、ぜひ耳鼻咽喉科を受診していただきたいですね。菊池さんとお母様が最初に医療機関を頼ったのは、素晴らしい判断でした。

菊池まずは病院を受診することが大事なんですね。

平松はい。というのも、聴力低下の原因は加齢性難聴以外にも、耳垢の詰まりから腫瘍まで多岐にわたるのです。大きな疾患が隠れている可能性もありますから、必ず医療機関で診断を受け、その結果によって補聴器の使用を検討してください。

※JapanTrak2022調査報告


「聞こえ」が生活の質を決める

菊池人間の体って不思議ですね。「まだ大丈夫」と思っていても、いつのまにか衰えが始まっています。私が40代の頃、子どもたちが街中で「ここはモスキート音がする」と嫌がったことがありました。モスキート音は、年齢を重ねるほど聞こえにくくなる高い周波数の音。私にはまったく聞こえず、聴力の低下を実感しました。視力が下がれば眼鏡をかけるのに、聴力の衰えは「まだ大丈夫」と放置してしまうのはなぜでしょう。

平松「残念ながら、聴力の重要性は十分認識されていません。ですが、聴覚は生活の質を左右する大事な感覚です。川のせせらぎや鳥の声は景色を鮮やかに見せてくれますし、鉄板でお肉を焼く音は食欲を刺激してくれる。聞こえが悪くなったことで働き続けることができなくなるなど、経済的な損失もあります。

菊池私は音楽活動をしているので、今のお話は他人事ではありません。曲作りの際には、私の声や楽器の音色を多層的に重ねていくので、すべての音を聞き逃したくなくて。仕事を続けるうえでも、聴力をできるだけ長く維持したい。人生100年時代を迎えたいま、お年を召しても働く方が増え、聞こえはますます重要になりそうですね。

菊地さん「仕事を続けるうえでも、聴力をできるだけ長く維持したい」

平松はい。それに、聴力低下はさまざまな健康リスクにつながります。周囲とうまくコミュニケーションを取れなければ認知症やうつ病を招きかねませんし、自分の足音が聞き取りにくいと転倒しやすくなってしまう。

菊池聴力の維持には、どのような対策が考えられますか?

平松聞こえの状態を知るためにも、耳鼻咽喉科で定期的に精密な聴力検査を行うことをお勧めします。

菊池記録を残すって大切ですよね。血圧や血液検査などのデータも経過を追うことで異変に気づけますし、耳も同じように考えればいいんですね。

平松聴力は40〜50代から徐々に衰えていきますから、自覚症状がなくても年に1度は検査を受けておくと安心です。

菊池いいことを伺いました。目安にしたいと思います。

平松病院選びも重要です。ひと口に耳鼻咽喉科といっても、アレルギーやめまいの専門医もいます。ですから、補聴器の専門医、なかでも「補聴器相談医」の認定を受けた医師のいる医療機関を選ぶといいですね。また、補聴器は買ったら終わりではありません。音の聞こえ方に早く慣れるためにも、補聴器相談医と販売店が連携しながら細かく調整し、〝よりよい聞こえ〞を作り上げていく必要があるのです。


補聴器のタイプと特徴

補聴器のタイプと特徴


家族に受診を促す上手な声かけ

菊池聴力の低下は自分では気づきにくいので、家族が「病院に行ってみたら?」と伝えるのも大事だと思います。ただ、声かけが難しいですよね。私から母に受診を勧めるのも、抵抗がありました。そんななか、「私たちから話をしようか?」と助けてくれたのが、子どもたち。母も、かわいい孫に言われて病院へ行く気になったようです。

平松たしかに、受診を促しても「私は大丈夫」「老人扱いしないで」と抵抗を示す方は少なくありません。耳掃除を促したことをきっかけに受診につながった例もあります。最近は、自分で耳掃除をしないほうがいいという認識が定着してきました。「耳鼻科で安全に耳垢を取ってもらおう」と話せば、嫌な気持ちにもならないはずです。

菊池それなら気軽に声をかけられそうですね。

平松それに、最近の補聴器は高機能化しているんです。スマホと接続して音楽を楽しんだりハンズフリー通話をしたり、GPSと連動して目的地に近づくと知らせてくれたりするので、生活がより便利になります。今後、補聴器は医療機器から生活必需品へ変化していくでしょう。

菊池補聴器をIoT機器(インターネット機能を備えた電子機器)のように使えるんですね! 新しい発見です。

平松さん「自覚症状がなくても年に1度は検査を受けておくと安心です」

平松以前に比べ、見た目もコンパクトになったんですよ。菊池さんもつけてみませんか?

菊池では、耳かけ型を試してみますね。え、小さくて軽い!つけていることを忘れそうです。

平松耳かけ型は、いま人気のタイプなんです。耳あな型はさらに小さく、外からもほとんど見えませんが、耳垢が柔らかい方や耳だれがある方には不向き。用途や耳の状態によってお選びいただくといいでしょう。

菊池補聴器相談医のいる病院なら、自分にどの型が合っているか安心して相談できますね。お話を伺って、耳の状態にも個人差があると改めて気づきました。これまでは周りの方のタイミングを見ながら補聴器を検討しようと思っていましたが、それでは使い時を逸してしまうかもしれません。まずは年に1度の聴力検査で、しっかり経過観察していこうと思います。

補聴器購入の流れ



平松 知義

平松 知義(ひらまつ・ともよし)/マキチエ代表取締役社長
2018年に、補聴器の設計・製造・卸販売および小売販売を行う、マキチエ株式会社の代表取締役社長に就任。医師と連携して補聴器販売を行う先駆者として、病院・医院を主な取引先に活躍

菊池 桃子

菊池 桃子(きくち・ももこ)/俳優・歌手
1968年東京都生まれ。84年に俳優、歌手としてデビューし、映画やドラマ、ラジオ等で活躍。2012年からは戸板女子短期大学の客員教授も務める。今年9月、40周年記念ベストアルバム『Eternal Best』を発売


●お問い合わせ/マキチエ️
☎0120・666・283(9:00 ~ 17:00、土日祝日を除く)https://makichie.co.jp/


構成: 野本由起
撮影: 本社・武田裕介
出典=『婦人公論』2024年11月号


リンク先は婦人公論.jpというサイトの記事になります。
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