2026.04.01 21:30
author ヤマダユウス型

Image: JitendraJadhav / Shutterstock
騒がしい場所でも、知っている人の声はハッキリ聞こえる。
この現象を「カクテルパーティー効果」と呼びます。たとえば人が密集するような駅やデパートでも、家族の声だけはちゃんと耳に届きますよね。また、知人だけでなく自身に関心のある話題が聞き取りやすくなるのも、この現象が影響しているとされています。
キャッチーな名称も相まって名前だけは知られていましたが、そのメカニズムが「実際に現実のシナリオに適用できるか」は、長年証明できずにいました。
しかし、マサチューセッツ工科大学の研究チームが聴覚能力を模倣した人工ニューラルネットワークを開発し、先行研究のメカニズムの実証に成功。その謎を解き明かしました。今回の研究結果は、Nature Human Behaviorに掲載されています。
増幅を可能とした新たなモデル
こうした人間の反応は選択的注意(Selective Attention)の一種とされています。カクテルパーティー効果の場合は、特定の声に反応するニューロンの活動が乗法的に増幅されることで、脳は特定の刺激に意識を集中させることができる…と、考えられてきました。
既知の計算モデルでは、多数の声から特定の声を選び出すタスクが実行できずにいたため、上記のメカニズムの実証が困難とされてきたのです。
そのため研究チームは、自身や他の研究者が聴覚のモデリングに用いてきたニューラルネットワークを、乗法的なゲインが適用できるよう改良しました。
このアーキテクチャは音の高さなど、モデルが処理する際の特定の特性に応じて各ユニットの活性化レベルを増幅させることができます。このモデルに、特定の音声を入力し、入力時に活性化したユニットに基づいて増幅すべきゲインを決定します。
研究チームのIan Griffith氏いわく、仕組みはこうなっているとのこと。
”たとえば、低音域の音声の一部を合図として使うとします。すると、モデル内で低音域を表すユニットは大きなゲインで増幅され、高音域を表すユニットは減衰されます。”
いわば、モデルは緻密なボリューム操作が可能になったわけですね。その後、複数の音がミックスされたノイズを聞かせたところ、モデルは目的の音声を増幅させることに成功しました。
また、モデルは音程が似ている音を区別するのに苦労するなど、人間でもありがちなエラーを再現しました。さらに、音が水平面で分離されている場合は正確に、垂直軸に分離されている場合はエラー率が上がるなど、空間に対する影響も人間と同様の反応を示したそうです。
記事のポイント!
騒音の中でも声を聞き分けられる脳の働きが、研究でどう再現されたのかをわかりやすく紹介。聞こえの仕組みを知る入口としても興味深く、人工内耳や聞こえ支援の今後を考えるきっかけにもなる記事です。
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