“聞こえづらい”への対処とフレイル予防(内田 育恵)

“聞こえづらい”への対処とフレイル予防(内田 育恵)

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2026年4月22日(水) 13:00

1.超高齢社会のフレイル

平均寿命の延伸により、100歳を迎える人も稀ではなくなりました。一方で、健康上の問題で日常生活が制限されることなく自立して寿命を全うする方ばかりではありません。健康と要介護の間の中間的な状態である「フレイル(虚弱)」の予防を意識することが大切です。フレイルやその前段階であるプレフレイルのときに、適切な介入や対策をとれば、再び健常な状態に戻る可能性があると考えられています。

フレイルは多面的でいくつかの表われ方をします。①毎日の生活を営むための身体機能が衰える身体的フレイル、②外出減少など社会とのつながりが希薄になる社会的フレイル、③判断力や認知機能低下、意欲の低下や抑うつなどの精神心理的フレイル、がお互いに関連しあっています。

 

2.加齢とともに“聞こえづらい”は身近な問題に

超高齢社会において、難聴はたいへん頻度の高い健康問題のひとつです。日常生活に支障をきたす中等度以上の程度である難聴者の割合は、地域住民を対象とした調査によれば70歳代では3~4人に1人程度にみられ、その割合は年齢上昇とともに増加します。

難聴はフレイルの身体的な構成要素のひとつでもあり、聞こえづらさに対処せず放置した場合には、コミュニケーション障害や、就業機会の喪失、対人関係の障害、うつ、無気力、社会的孤立などのリスクとなり、さらには認知機能低下に結びつくという連鎖も想定されています。つまり前述した①身体的フレイル、だけではなく、②孤立、孤食、独居、経済的困窮等の社会的フレイル、③精神心理的フレイルが、様々に交錯して悪循環を起こし、自立度の低下を促進していきます。

高齢期の難聴は、年齢を重ねるにつれ徐々に進行するため、日常生活に不自由が出るようになってはじめて“聞こえづらさ”を感じることが少なくありません。自分自身での気づきや周囲からの早期発見に、重要な意味があります。一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会では、聞こえのセルフチェックを提案しています1)。次のリストでひとつでも当てはまる方は、お近くの耳鼻咽喉科で相談してみましょう。難聴の中には、治療により改善する要素が含まれていることがあり、自己判断せずに専門的な評価を受けることをお勧めします。

聞こえのセルフチェック


3.社会的フレイルと難聴の関係

フレイルのうち社会的フレイルは、社会活動や人との交流機会の減少など、フレイルの社会的な側面を表しますが、社会とのつながりを失うことがきっかけとなり、ドミノ倒しのようにフレイルが進行したり重症化することが指摘されています。社会的な役割や知的な活動が維持されることや、日常生活動作の中でも、掃除や料理、買い物や金銭管理、交通機関を利用して移動するなどの行動が、社会参加により続けられると想定されます。

社会的フレイルの評価のための質問項目2)をみると「ときどき友人の家を訪ねている」や「毎日誰かと会話する」については、難聴があり対策が取られていなければ、障壁になると考えられます。われわれは以前に7つの大学病院の補聴器外来を受診した60歳以上の補聴器初心者さん達を対象に、補聴器を始める前と6ヶ月後で聞こえに関するハンディキャップを比較しました3)4)。具体的な設問のうち

「参加したい会があっても聞こえが悪いためにやめてしまうことはありますか」
「聞こえが悪いために家族と話したいのにやめてしまうことがありますか」
「聞こえにくいことが私生活や社会的な活動の妨げになっていると思いますか」
「何人かで話すとき聞こえが悪いために取り残されている感じや疎外感を感じることがありますか」

などの項目で、高齢難聴者が聞こえづらさのために社会活動や人との交流をあきらめている実情が明らかとなりました。補聴器を使用し始めて6ヶ月後に、これらのハンディキャップが軽減したことも明らかになりました。

Makizakoらによる社会的フレイルの評価

記事のポイント! 

加齢に伴う難聴は身近な問題であり、放置するとコミュニケーション障害や社会的孤立、さらには認知機能低下へとつながる可能性があります。フレイルは身体・社会・精神の各側面が相互に影響し合うため、聞こえづらさへの対処はその予防において重要な意味を持ちます。補聴器などの適切な対策により、社会参加や生活の質の改善が期待できることも示されており、早期に気づき専門家へ相談することが大切です。

関連ページ 

聞こえが気になる方は、以下のページも参考にしてください。

今の聞こえの状態を簡単に確認したい方へ
▶ 聞こえづらいと感じたときのセルフチェック

難聴の原因や種類を整理したい方へ
▶ 難聴とは?(原因・症状・種類)

まず何をすればよいか知りたい方へ
▶ 聞こえづらいと感じたときの対処法

補聴器の基本を知りたい方へ
▶ 補聴器の種類と選び方

 

気になる症状がある場合は  

聞こえに不安がある場合は、早めに耳鼻咽喉科への相談をおすすめします。 


原文掲載元はこちら 

 https://powerup.mealtime.jp/

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