2025/05/29 15:35
荒井秀一
11月に開幕する聴覚障害者の国際スポーツ大会「デフリンピック」東京大会(読売新聞社協賛)の陸上で、松江ろう学校(松江市)の教諭2人が代表に内定した。足立 祥史よしふみ (28)と須山勇希(24)で、足立は男子の400メートルリレーと1600メートルリレーの金メダル、須山は男子走り幅跳びで入賞を目指している。

デフ陸上日本選手権男子400メートルで2位に入った足立=浦上太介撮影
足立は松江市出身。昨年7月のデフ陸上世界選手権で、400メートルリレーの代表として金メダルを獲得した。「聞こえない子どもたちのロールモデルになりたい」と教諭となり、現在は高校1年の担任で社会を教えている。スタートを音の代わりに信号で伝える「スタートランプ」を島根県内に普及させたいと考えており、「デフリンピックで結果を出すことで島根の人に知ってもらい、みんなで使えるような環境にすることが目標」と語る。

デフ陸上日本選手権男子走り幅跳びで優勝した須山=浦上太介撮影
須山は同県雲南市出身。松江ろう学校で学び、中学から陸上を始めた。昨年の世界選手権の走り幅跳びでは7位。デフリンピックでは「入賞が目標で、できればメダルも狙いたい。7メートルを超えたい」と6メートル84の自己記録更新を狙う。「ろう学校で出会った先生にすごく恵まれて今の自分がある。自分がしてもらったことを子供たちに返したい」と母校の教諭となり、現在は小学6年の副担任を務める。
代表が発表された15日は2人とも学校で吉報を待ち、内定が決まると生徒から祝福された。足立は「外国の選手と走っているところを見せ、世界は広いというところを教えたい」、須山は「聴覚障害があるからといって諦めるのではなく、自分が本当に何をやりたいのかを自分の中で持ってほしい」。生徒たちへの思いも胸に秘め、「先生」は大舞台での活躍を期している。(荒井秀一)
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