【諫早市】耳が不自由な方への「要約筆記」という通訳を知ってますか?

【諫早市】耳が不自由な方への「要約筆記」という通訳を知ってますか?

あつぱんまん
地域密着ライター&本明川ダム長期取材中(諫早市・大村市)
6/27(金) 12:01

映し出された要約筆記


はじめに、要約筆記とは?

要約筆記とは、聴覚障がいのある方をはじめ、高齢者など聞き取る事が難しい方のために、話の内容をその場で文字にして伝える筆記通訳のことをいいます。


「耳が聞こえない人は、手話を知っているので必要ないのでは?」と筆者は思っていましたが、手話ができる人はなんと聴覚障がいを持っている人の全体の3割程度。ほとんどの人は手話ができないそうです。

その事実に驚き、さらに詳しく調べてみると、聴覚障がいがある方のほとんどの方が『後天性』。つまり、もともとは耳は聞こえていたけど、事故やなんらかの病気のせいで難聴になってしまった方が多いそう。加齢による難聴者もその中に入ります。

例え補聴器をつけていても、話す相手が早口だったり、少し距離があると聞き取りにくかったりと様々な 問題があり、コミュニケーションで悩む方が多いという現状です。

そんな音声情報を代わりに聞いて、話を要約し文字で伝える。それが『要約筆記』です

要約筆記は耳で聞き取りにくい方と、話し手の間に立ってコミュニケーションが取れるように文字で両者の架け橋になる重要な役割があります。

今回この「要約筆記」のお話は、筆者がいつもお世話になっている知人の方からいただいたもの。

「今度要約筆記会の説明会があるんだよね。そこに取材来てよ!お菓子もあるから!」と言われ、お菓子につられた筆者は、お菓子目的で要約筆記の説明会の取材へ行くことになりました。

 

聴覚障がいの方に寄り添って「耳変わり」になってくれる要約筆記

今回の要約筆記の説明会の主催はいさはや要約筆記会というところ。代表は秋月典子さん。

実働メンバーは秋月さんを含め8名で現在活躍されています。

要約筆記養成講座のチラシ

主な活動は筆記通訳を必要としている方々の支援はもちろん、ボランティアフェスタへ参加し、健常者の人たちへの聴覚障がいの疑似体験を行い、耳が聞こえないとはどういうことなのか。そして要約筆記の必要性を伝えています。

また『まるよ寄席』というイベントを主催し、聴覚障がいの方々に生の舞台公演に字幕を付けて、観劇を楽しんでもらうイベントなどを開催しています。

『まるよ寄席』というイベントを主催

今回の説明会では要約筆記の「全体投影」というデモンストレーションも同時に行われていました。

全体投影とは、講演会や会議などで話の内容を要約して、スクリーンなどに打ち出すもの。

話が耳で聞ける筆者でも横のスクリーンで文字として出てくると、わかりやすく理解がしやすいです。

要約筆記の「全体投影」というデモンストレーション

現代はAIや音声認識が発達しており、機械が文字起こししてくれる世の中なので、わざわざ文字を書いたり、パソコンで文字を起こしたり、間に人が入る必要ないのではと思われる方も少なくないといいます。

確かにこの説明会の時にも同じ質問がでていましたし、筆者もそう思っていました。

要約筆記の「全体投影」というデモンストレーション

音声認識はだいぶ発展してきており、少しでも情報が欲しい人はそちらを使う方もおられます。

しかしまだ誤字があったり、文字が出てくるまでに時間がかかり、タイムロスが起きスムーズなコミュニケーションが取れないなど、支援の役に立てるかというとまだ難しい段階にあるといいます。

要約筆記の「全体投影」というデモンストレーション

補聴器を付けている方を見かけると「補聴器を付けてるから聞き取れる」と思い込んで、つい自分のペースで話してしまいます。

しかし、補聴器を付けたからといって、会話を完ぺきに聞き取れるわけではないそうです。

「聞き取れない時は、聞き返したらいいじゃないか」と私たちは思いがちですが、何度も聞き返すことに気が引けると言う難聴者の方も少なくないといいます。

確かに筆者の祖父も難聴者で補聴器を付けています。

筆者は声が大きいので、補聴器も付けてるし聞こえているものだと思って話してますが、祖父からはいつも「なんて言いいよるか、いっちょん分からん!(訳:なんて言っているのか、ぜんぜんわからない)」と筆者の倍の大きい声で返ってきます。

これを何度も繰り返すのは、しゃべる側も聞く側もかなり体力を消耗してしまいます。

そんな時に聴覚障がいの方に寄り添って「耳変わり」になってくれる要約筆記の方は心強い存在なのです。

 

要約筆記は今まで持っていた常識を変えてくれる、福祉活動

説明会のあとは茶話会がありました。

筆者が楽しみにしていたお菓子タイムという会員の皆さんとの交流会です。

「要約筆記」は病気や加齢、事故などで聞こえにくくなったけど、手話を覚えるのが困難だという人たちに向けての大切な通訳です。

いさはや要約筆記会の皆さまは「利用者さんを第一に、気持ちに寄り添うことも大事にしています。」と仰っていました。

茶話会のお菓子

茶話会のお菓子


その証拠に、いさはや要約筆記会の方に会えることを楽しみにしている人も少なくないといい、筆記会の方に会える日までの楽しかった出来事をメモに残して、話すことを待っていてくれる利用者さんのお話もしてくださいました。

また要約筆記の活動を通して、色んな分野の勉強が出来るとも仰っていました。

今まで私たちが“常識”だと思っていたことが、こっちでは‘非常識’だということもあります。今まで常識は常識とは限らないんです。」とも教えてくれました。

説明会あとの茶話会の様子

説明会あとの茶話会の様子


会員の皆さんはとても優しく、お話して楽しく素敵な方ばかりでした。

いさはや要約筆記会は、随時会員を募集しています。

人と話すことが好きな方や文字を書いたり、パソコンで文字を打つことが好きな方、何か新しいことを始めたい方、興味がある方はぜひ、問い合わせしてみてください。


お問い合わせ先

いさはや要約筆記会
代表 秋月 典子さん
TEL 080-3542-7164
mail frontamago@gmail.com


あつぱんまん

あつぱんまん

地域密着ライター&本明川ダム長期取材中(諫早市・大村市)
✨️2024年9月・12月 地域クリエイターMVA受賞✨️ 現在、本明川ダム 長期取材中です! 伝わりやすい、親近感ある記事を書くことを心がけてます。 諫早のゆるキャラ「うないさん」が大好き!∈(゚◎゚)∋ウナー


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