フレンチ永美さん

障害者と家族が少しでも生きやすくなる社会にしたい。

掲載日:2026.08.24

フレンチ永美さん

社会福祉学科 4年生
フレンチ永美さん

大阪府出身。妹に発達障害があり、本人や家族のつらさを感じてきたことから、「障害者とその家族がもっと生きやすい社会に」という思いが芽生え、人間福祉学部社会福祉学科に進学。ゼミでは「義務教育機関における発達障害の事前改善措置」をテーマに卒業論文を進めており、将来は教育現場での障害児支援の充実をはじめ、障害者の福祉制度やサービスの改善に携わりたいと公務員を目指している。

 

障害は個人ではなく社会が生み出していることを学ぶ。 

私が小学4年生の時、2歳下の妹が発達障害と診断されました。

一見「普通」に見えるものの感覚過敏でよくパニックを起こしていましたが、当時の小学校ではなかなか理解されず、担任が変わるたびに家族が事情を一から説明し直さなければなりませんでした。その後、妹が不登校になって困っていたところ、大阪市の相談窓口で対応してくれた社会福祉士の方から「米国は発達障害児の支援が進んでおり、日本から移住して適応できた子どもがいる」と聞き、父が米国人でもあるので妹は思い切って移住、学校に通えるようになりました。この一件から、日本の教育機関ももっと改善されるべきと感じ、学校福祉に携わる仕事ができたらと社会福祉学科に入学しました。

学科の授業で最も印象に残っているのは、松岡克尚教授の「障害者福祉論」です。それまで障害は個人の問題だと思っていましたが、授業で障害は社会が生み出していると見なす「社会モデル」を学び、自分の中での障害に対する考え方が大きく変わりました。松岡教授は一方的に話すだけではなく、学生たちに「眼鏡やコンタクトを着けている人は障害者なのか」「違うのならそれはなぜか」など問いかけ、考えさせながら授業を進めます。自らの頭で考えるうちに、目が悪い人が眼鏡などで視力を補いながら当たり前のように生活しているのと同様に、障害者といわれている人たちも障害をカバーできるものや環境が整えば障害者ではなくなるということが自然と理解できました。

ゼミの様子


その人にとって本当の幸せにつながる支援が必要。

入学当初は教育現場での障害児支援に関心が限られていましたが、もっと多様な分野に視野を広げた方がいいと思い、3年生の「ソーシャルワーク実習」は高齢者と障害者の支援機関で行いました。

1カ所目は特別養護老人ホームに併設された通所介護事業所(デイサービス)で、5日間高齢者と接しました。その中で、利用者の方が普段から家族や他人に「迷惑をかけている」と負い目を感じていることがうかがえ、高齢者の尊厳を支える心のケアの必要性について考えさせられました。

もう一つの実習は障害者相談支援事業所で、約1カ月間通いました。障害者のサービス等利用計画を作成するのを主な業務としており、私も勉強用の試作ではありますがグループホームで生活している方のサービス等利用計画書作りに取り組みました。その方と何度か面談し計画書に希望事項を盛り込んだのですが、実習指導者からは、希望をそのまま反映させるだけではなく、優先順位を考慮し、長い目で見てその方が地域で安心して暮らせることを目標にした計画を策定する必要があると教わりました。実習は総じて、教科書ではなく実際の関わりを通して気づかされ、得られることが非常に多い時間でした。

ポスターの前のゼミ生


障害者の世界に関心を持ってもらう難しさを実感した。 

2年生の時に「ソーシャルワーク実習」を障害者支援の分野で選ぶことに決め、3年生からのゼミも同じ分野を専門とする松岡教授のもとで学ぶことにしました。松岡ゼミでは自分たちで企画を立ててさまざまなイベントに取り組みます。3年生の後半は聴覚障害があるスポーツ選手、デフアスリートとの交流会の企画を練り、一般参加者も募って春休みに開催しました。ゲストには聴覚障害者の世界的なスポーツ大会「東京2025デフリンピック」に出場したバドミントンとバレーボールの選手2人を招待。手話通訳を介してデフリンピックの思い出を聞いたり、参加者からの質問に答えていただいたりしたほか、デフアスリートも交えて参加者と一緒にデフスポーツを楽しみました。選手へのオファーは松岡教授にお願いしましたが、当日の準備やイベント告知などは全て自分たちで行いました。私はサブリーダーを務め、広報も担当したのですが、時季的なこともあってなかなか申し込みが増えず、SNSで発信したり知人に協力を依頼したりして何とか十数人が集まりました。交流会の冒頭で簡単な手話を紹介し、デフスポーツ体験の際にはみんなで手話で応援したことで会場に一体感が生まれたのがうれしかったです。集客活動では障害者の世界に関心を持ってもらう難しさを感じましたが、参加した方がこのイベントをきっかけに障害者との共生について考えるようになってくれたなら意義があったのではないかと思います。

デフアスリートとの交流会

記事のポイント!

障害者福祉を学ぶ学生が、東京2025デフリンピックに出場した選手を招き、交流会を開催しました。手話で選手の経験を聞くだけでなく、参加者もデフスポーツを体験し、手話で応援。障害への関心を広げる難しさを感じながらも、実際に交流し共に楽しむことが、相互理解や共生について考えるきっかけになることを伝えています。

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原文掲載元はこちら 

 https://www.kwansei.ac.jp/s_hws/interview/01786.html

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