『東京2025デフリンピック』日本代表の夫婦「聴覚障害は諦める理由にならない」バドミントン混合ダブルスで目指す金メダル 新潟県長岡市

『東京2025デフリンピック』日本代表の夫婦「聴覚障害は諦める理由にならない」バドミントン混合ダブルスで目指す金メダル 新潟県長岡市

新潟放送
2025年8月9日(土) 12:12

『東京2025デフリンピック』日本代表の夫婦

「聞こえないことは夢を諦める理由にならない」
そんな決意を胸に、大舞台へ挑む新潟県長岡市の夫婦を取材。
2人は、手話と筆談で私たちにいろいろと教えてくれました。

長岡市に住むバドミントン選手、沼倉昌明さん(39歳)と千紘さん(35歳)は、日本代表として11月に日本で初めて開かれる“聴覚障害者”のスポーツ大会『東京2025デフリンピック』に出場します。

試合中の2人の背中

千紘さんは4回目、昌明さんは3回目の出場。
昌明さんは生まれつきの難聴で、千紘さんは後天性で、徐々に聴力が低下。
2人はほとんど耳が聞こえず、補聴器をつけて音の有無が分かる程度です。


この日は高校生とともに練習に励んでいました。
アスリートとしての厳しい表情を見せながら、コミュニケーションは穏やかに…。
2人は支え合いながらトレーニングを続けています。

高校生とともに練習に励む

【昌明さん】
「私の場合は、家族が背中を押してくれるからこそ、競技に全力で向き合えます」

【千紘さん】
「出産後の体の変化で思うようにいかない時期もありましたが、夫婦だからこそ、弱音も含めて正直に伝えられ、支えてもらえたことが大きな力になりました」

千紘さん


2人の強みは…

【昌明さん】
「特に、相手の体の向きやスイングの動きから、次にどこにシャトルが飛んでくるのかを予測する力には自信があります」

昌明さん

【千紘さん】

「視野が広く、相手コートの状況を把握することが得意だと感じます」


“連携”が重要なダブルス

ほとんど耳の聞こえない2人が、お互いに声を掛け合うことはないんですけれども、お互い何をやるか、ポジションニング、全てわかっているように見えます。

2人は聴覚に頼らず、目線や仕草でお互いの動きを把握しているそうです。

“連携”が重要なダブルス


【練習をともにした高校生】
「前衛のタッチが速かったので、耳が聞こえる聞こえないに関係なく、すごく上手な方だったので、自分たちも見習わないとなと思いました」
「自分たちのよくないところも、結構ズバッと言ってくださる」

新潟県長岡市に住むバドミントン選手・沼倉夫婦の2人は、聴覚障害者スポーツのイベントで出会いました。13年前のことです。

【千紘さん】
「最初は無表情でちょっと不愛想な人なのかなと思いました」

【昌明さん】
「とても物静かで大人しい人だなという印象でした」

13年前の二人

スポーツイベントで出会った翌年、千紘さんが初めてデフリンピックに出場。
国際大会で活躍する千紘さんの姿に、昌明さんは大きな刺激を受けたそうです。

【昌明さん】
「千紘と出会うまでデフリンピックについてよく知りませんでしたが、2013年にブルガリアの大会に出場した姿を見て、具体的なイメージを持つことができました」

そして、2人でスキルを磨き、男女でペアを組む混合ダブルスでデフリンピックに出場するまでに成長しました。

結婚

そして2018年に、昌明さんからのプロポーズで2人は結婚。
公私共に支え合うペアとなりました。

2歳になったばかりの息子・碧ちゃん

2人にとっての大切な存在は、2歳になったばかりの息子・碧ちゃん。
碧ちゃんにも、聴覚障害があります。


昌明さんは、デフバドミントンを通して、聴覚障害への正しい理解を広め「社会の壁を取り払いたい」と考えています。

「『聴こえないことは、夢をあきらめる理由にならない』と伝えられる存在でありたい。そう強く思うようになったのは、ろう者である息子の存在があったから」

昌明さんと息子さん

「私の背中を見て、勇気や希望を感じてくれる人がいるなら、それこそが競技者としての誇りであり、私の使命だと信じています」

後天性の聴覚障害をもつ千紘さんも、「聞こえていた時以上に輝いている姿を見て、何か感じてもらえてたらうれしいです」と教えてくれました。

練習する練習する

これまで、デフリンピックでの2人の最高成績はベスト8でした。
自国開催となる11月の大会では、家族で殊勲のメダルを目指します。

昌明さん


【昌明さん】
「全ての種目でメダルを獲得することが目標です」

【千紘さん】
「夫婦で出場する混合ダブルスでは、金メダルを目指して全力で挑みます」

千紘さん


普段の生活でも手話や目線、仕草で自然と意思疎通することが多いため、「ここは自分が前に出る」「次は任せる」などが“言葉なし”で感覚として共有できる二人。
ハンデではある聴覚障害から生み出される夫婦のパワーと磨き上げたバドミントン技術で、是非デフリンピックを勝ち抜いてほしいと思います。


リンク先はTBS NEWS DIGというサイトの記事になります。


 

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