埋没耳のイラスト

「いびつな耳の形も個性」と楽観視していたら娘が生後4か月で「埋没耳」と診断された話「気になったら早めの受診を」

 阿部祐子
2026.08.11

我が子が生後4か月のときに、生まれつき耳の上半分が頭の皮膚の下にうもれている「埋没耳」と診断されたサヤ山サヤ(@saya_twins1125)さん。治療の経験談を描いた漫画をSNSに投稿しました。当時、子どもの聴力には問題がなく、サヤ山さんもその耳の形を「個性」としてとらえていたそうです。

 

産後に「耳の形が少し違う」と気づき

埋没耳のイラスト

三女の耳の上半分は皮膚の下に埋もれていた


── 日本では赤ちゃんの約400人に1人に見られるという「埋没耳」は、頭の皮膚の下に耳が埋もれている耳の変形のことです。3人姉妹を育てているサヤ山さんは、三女が生後4か月のときに「埋没耳」と診断されました。お子さんの耳の違和感に気がついたのは産後すぐのことだったそうですね。

サヤ山さん:帝王切開で三女を出産し、2日後に初めて娘を抱っこしたときのことでした。そのとき初めてゆっくりと我が子の顔を見ることができ、「右耳の形が少し違うな」と気がつきました。でも産院では耳の形について特に指摘がなく、新生児聴覚スクリーニング検査も問題がなかったため、「これもこの子の個性なのかな」と思ってあまり気にしていませんでした。 

 

──「埋没耳」と診断されたのはいつごろだったのですか。

サヤ山さん:かかりつけの小児科で4か月健診を受けた際に「埋没耳」であることを指摘されました。そのままにしておくとマスクやメガネがかけられなくなるので早めに治療を始めたほうがよいと説明を受け、大きな病院を紹介してもらいました。

ただ、この時点ではまだどのような治療や手術になるのかの詳しい説明は受けていませんでした。それで、大きな病院へ行くまでのあいだ、不安な気持ちから自分でも埋没耳について調べたり、知人を通じて、実際に埋没耳の手術を受けたお子さんの話を聞いたりして過ごしていました。

 

── 個性だと思っていた耳が「埋没耳」で、手術の可能性もあるとわかって不安は大きかったと思います。

サヤ山さん:調べてみると大がかりな手術になりそうで、小さな体で手術を受けるかもしれないことに不安を感じていました。でも、私も夫も「将来、娘が困ることのないようにできる限りのことをしてあげたい」という気持ちでもありました。

ただ、大きな病院を受診すると、娘の「埋没耳」は重度ではないため「テーピングでの治療ができそうだ」と言われたんです。耳の付け根の埋もれている部分を引き出して、細く切ったスポンジを挟み、テープで固定しておくという方法でした。お風呂の時間以外はテーピングをして数か月間、様子を見ることとなりました。毎日のケアは大変そうだと感じましたが「手術をせずに治療できるかもしれない」と安心したことを覚えています。

 

テーピング治療ならではの苦労に悪戦苦闘


── 手術は免れたものの、24時間ずっとテーピングというのも大変そうですね…。

サヤ山さん:実際にやってみると、赤ちゃんはじっとしていることが難しく、しかもよく動くため、耳を正しい位置に引き出した状態でテーピングするのは思っていた以上に大変でしたね。慣れるまでは貼り直すことも何度もありましたし、朝起きるとテープが外れていることもよくありました。娘は髪の毛が少ないほうだったので、治療を始めた4か月の頃は耳の後ろにも問題なくテープを貼ることができていたんです。でも、成長して髪が伸びてくると毛がテープについて浮いてしまって、うまく固定できなくて。やむをえず耳の後ろの髪の毛を剃って固定していました(笑)。

また、長い期間テーピングを続ける必要があったため、テープによる肌のかぶれにも悩みました。皮膚科で処方してもらった薬をかぶれに塗って、その箇所を避けるようにテープを少しずらして貼ったりと工夫していました。 

イラスト「お風呂以外はずっとテーピング。固定するのに慣れるのにもひと苦労だったそう」

お風呂以外はずっとテーピング。固定するのに慣れるのにもひと苦労だったそう

 

── 大変な一方で、赤ちゃんだからこそよかった点もあったそうですね。

サヤ山さん:大人であれば、長時間のテーピングは気になったり違和感を覚えたりすると思います。私たちも治療中は「痛くないかな」「苦しくないかな」と心配していたんです。でも赤ちゃんは順応性が高く「これが当たり前なんだ」と受け入れてくれるのか、三女も嫌がることなく長時間のテーピングを続けることができました。

 

── テーピングや髪の毛を剃ることを大きな抵抗なく受け入れてくれるのは、助かりますね。治療により、耳の形はどのように変化したのでしょうか。

サヤ山さん:赤ちゃんの体はまだ柔らかく、テーピングで耳を正しい位置に導いてあげることで少しずつ形が整っていきました。治療を続けていくうちに埋没していた部分がしっかり出てきて、改善していく様子が目に見えてわかりました。赤ちゃんの体には、大人が想像する以上に成長する力があるのだなと感じましたね。

生後8か月ごろに治療自体は終了しましたが、その後も約1年間は経過観察のために通院を続けました。最初は3か月後、次はそれから4か月後というように少しずつ間隔を空けながら受診し、テーピングをしなくても耳の形が維持されているかを先生に確認していただきました。1歳8か月のときに最後の診察が終わり、大きな手術をすることなくテーピングで治療を終えられてとてもほっとしました。

 

──「埋没耳」は認知度が低く、見落とされがちだそうです。

サヤ山さん:私自身、三女が診断されるまで「埋没耳」というものを知りませんでした。もし生後4か月のときに小児科の先生が気づいて指摘してくださらなければ、治療を受けることなく、そのまま成長していたかもしれません。

程度にもよりますが、埋没したままだと将来的にメガネやマスクが耳にかけにくくなり、特注のものが必要になることもあるそうです。埋没耳は、早い時期であればテーピングで耳を固定する治療で改善することも多いと聞きました。もしお子さんの耳の形で気になることがあれば、早めに医療機関へ相談してみることをおすすめしたいです。

 

記事のポイント! 

生まれつき耳の上半分が頭の皮膚の下に埋もれる「埋没耳」は、聴力に問題がなくても将来メガネやマスクをかけにくくなる場合があります。記事では、生後4か月で診断された女児が数か月のテーピング治療によって手術をせずに改善した経過と、早めに医療機関へ相談する大切さが紹介されています。

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原文掲載元はこちら 

 https://chanto.jp.net/articles/-/1009031?display=b

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