ろう者と聴者の恋愛を描いた大人気漫画がアニメ化。原作者が語る「手話を表現する」ことの奥深さ

ろう者と聴者の恋愛を描いた大人気漫画がアニメ化。原作者が語る「手話を表現する」ことの奥深さ

近年、聴覚障がいのある登場人物を描いたドラマが立て続けに制作され、聴覚障がいや手話への関心が高まっている。

そんななか、生まれつき聴覚障がいのあるろう者の大学生・雪と、彼女の大学の先輩でトリリンガルの青年・逸臣(いつおみ)の恋愛を瑞々しく描いた大人気漫画『ゆびさきと恋々』がアニメ化。

1月6日よりTOKYO MX他で放送がスタートする。



累計発行部数380万部(電子含む)を超える本作は、2019年から連載を開始し、2020年に第11回ananマンガ大賞、2021年に「全国書店員が選んだおすすめ少女コミック」で1位に選ばれており、SNSでも大きな反響を集めてきた。

読者からの「尊い」「きゅんが止まらない」の声

物語は、車内で外国人に話しかけられ困っている雪を逸臣が助ける場面から始まる。

とっさに「ありがとう」と手話でお礼を伝えたものの、逸臣に伝わらないことに気づきスマホのメモに入力しようとする雪。

雪がろう者であることを察した逸臣は、物怖じしない性格も手伝って、雪の手を止めて「口の動き読める? 読めない?」と読唇で積極的にやりとりしようとする。

自分の世界になんのためらいもなく踏み込んできた逸臣に驚きドキドキしながらも、その心臓の鼓動がやがて恋だと気づく雪。

そしてトリリンガルの逸臣もまた、“未知の言語”である手話に興味を持ち、その興味の先に雪への恋心があることに気づく。

相手を思い合いながら、新しいコミュニケーションや感覚に触れ、互いの世界を広げ合う2人の姿、そして思わずきゅんきゅんしてしまうやりとりの数々に、「尊い」「きゅんが止まらない」といった声がSNSに溢れている。

恋愛要素だけでなく、手話や読唇が読者にも感覚的にわかるように漫画で表現されているのも『ゆびさきと恋々』の魅力だ。

そんな本作はいかにして生まれたのか、またアニメ化に対する思いについて、作者である森下suu(原作担当のマキロさんと作画担当のなちやんさんの2人組ユニット)さんに話を聞いた。

「とんでもないものを作ってしまいましたね」

――アニメ化される話を最初に聞いたとき、率直にどう思われましたか?

マキロ(原作担当、以下略):題材が手話なので、アニメにするとなると絶対に大変だろうなと思いました。

そのうえ、メインの2人がろう者と3カ国語を話すトリリンガルなので、声優さんにとっても難しい役だろうし、本当にアニメになるの!? と最初は思いました。

村野(佑太)監督もそのことはおっしゃっていて、本当に色々悩まれたと思います。それでも実現してくれたことに感謝しています。

なちやん(作画担当、以下略):私は、その時はまだ3巻くらいの頃だったので、びっくりしたのを覚えています。

ですが、監督にいただいたお手紙を読んで、すごくいいアニメになる予感があったので、ワクワクしました。

――お2人はすでにアニメの第1話をご覧になっているそうですね。

マキロ:アフレコのスタジオで、監督や声優さん、スタッフさんたちと1話目を観させていただきました。

物語の後半、主人公の雪と逸臣が雪が降るなか2人で歩くシーンは、自分たちもその場にいるかのような臨場感で、寒さが伝わってきて鳥肌が立ちました。

観終わった後は胸がいっぱいで、心が温まって……。

このように感じられたのは、クオリティの高さゆえだと思います。

とんでもないものを作ってしまいましたね、村野さん」と思いました(笑)。

きっかけは「手話ってかっこいいな」

――生まれつき聴覚障がいをもつ主人公のストーリーを描こうと思われたきっかけはなんだったのでしょうか?

マキロ:新しい連載のテーマを考えているとき、昔、街で手話を使って話されているグループをお見かけしたときのことを思い出して。

その時、手話ってかっこいいなと思ったんです。

手話という題材はマンガで描くのが難しいですが、漫画家として私たち2人とも何かチャレンジするものが描きたかったからというのもあります。

――読者の多くは「聴覚障がいをテーマにした作品」というよりも「繊細なラブストーリー」と捉えているように思います。作品をつくるうえで、その点は意識されたのでしょうか?

マキロ:手話や聴覚障がいのある方の生活など知ってほしかったので、作りとしてはまずは手にとっていただけるように恋愛を軸にし、少しずつ出口に向かって障がいと共にあるという流れになっています。

――漫画で手話を描くのは苦労が多いと思いますが、一番難しいのはどんな点でしょうか?

マキロ:私がネームを担当しているのですが、その際、手話のセリフの言い回しで聴覚障がいをもつ方やそのご家族などを傷つけないよう、注意を払いながら、何度もぐるぐるとセリフを考えています。

なちやん:漫画はスペースが限られているので、手と顔をちゃんと見せようと思うと上半身が多くなってしまう。

アングルが変わると、手話をしている手の動きも脳内で回転させたりして作画しなければいけないので、そこが一番大変です。

もう3年ほど描いてきているので、どこを抜き出して描けばちゃんと手話をしているように見えるか、伝わるかはだいぶ感覚でやれるようになってきましたが、それでもわずかな上下、手の位置などで意味が変わってきたりするので、丁寧に慎重に描いています。

(中略)

リンク先はFRAUというサイトの記事になります。

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