<主張>手話推進法 能力発揮できる世の中に

<主張>手話推進法 能力発揮できる世の中に

2025/7/27 05:00

インタビューに答える中田美緒選手(日本デフバレーボール協会提供)

インタビューに答える中田美緒選手(日本デフバレーボール協会提供)


障害の有無にかかわらず、お互いに人格と個性を尊重し合える社会への確かな一歩にしたい。

先の国会で全会一致で可決した「手話施策推進法」が公布、施行された。手話についての理解を広げ、環境を整えるものだ。

視覚障害者らを想定した「読書バリアフリー法」や、聴覚障害者ら向けの「電話利用の円滑化に関する法律」はあるが、手話に関する法の制定は初めてである。障害の特性に応じて、適した方法で意思を伝え合えれば個々の力を存分に発揮できる。国や地方公共団体は推進法に基づき、手話の普及に向けた施策に力を入れてもらいたい。


推進法は、基本理念に手話を使う人の意思が尊重され、手話の習得や使用に必要な配慮が行われる環境の整備を掲げた。手話による演劇や伝統芸能などの「手話文化」を保存、継承、発展させることや、手話への国民の理解と関心を深めることも盛り込んだ。

国と地方公共団体は今後、これらの方針に基づいて、障害者基本計画などに手話に関する施策を反映する。

教育現場での取り組みは特に重要だ。手話を使う子供がいる学校では、その意向を尊重した教育活動が提供できるよう、手話の技能を有する教員や通訳、支援者を配置することが求められる。手話を使った教材の提供や、教員への指導方法の研修も講じる。


障害のない人が、理解を深めることも大切である。日常生活や社会生活で提供されるサービスや設備は、障害のない人には使いやすくても、障害のある人には使いにくいことが少なくない。学校現場でも、手話を使う子供だけではなく、全体で手話について理解するような教育活動に努めたい。

役場では、手話通訳を配置したり、タブレット端末による手話通訳サービスを使ったりするところも増えてきた。一方で、手話通訳士として登録する人は全国に4千人程度で、不足感が強い。地域や技能による偏りもあるとされる。


今秋には日本で初めて、聴覚障害者の国際スポーツ大会「デフリンピック」が開かれる。第1回の開催は1924年で、パラリンピックより歴史の古い大会だ。開催への機運を高め、手話の普及につなげたい。


リンク先は産経新聞というサイトの記事になります。


 

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