【読者手記漫画】若さを求めて右往左往
さえじまゆう 石田祥子

実年齢はうまくごまかせても、身体のほうまで若くはいられないようで……。本誌で人気の読者手記を、さえじまゆうさんが漫画化!石田祥子さん(仮名・千葉県・主婦・57歳)は年齢より若く見られるよう、体型維持や認知症予防に力を入れていましたが、目と耳の<老化>には抗えないようで――
受け入れがたい《加齢》の2文字

去年の健康診断の結果に、「右耳、難聴気味。要検査」と書かれていたので、耳鼻科へ行った。両耳を検査してもらったのだが、そこで先生に言われた言葉がショックだった。
「たしかに右耳の聞こえが悪いですね。特に高音がほとんど聞き取れていないようです。加齢の影響によるものですね」
え? 先生、今、加齢と言った? 信じたくなかった私は苦し紛れに聞いてみた。
補聴器を勧められ

受け入れがたい事実だった。白内障も緑内障も、かなり年配の人が発症するもの、というイメージだ。実際、私の母も白内障で手術をしたが、たしか70代だったはず。
そうして迎えた手術日。待合室を見渡すと、どうやら、70代、80代の方ばかり。
緊張しながら待っていたら、なんだか一気に老けこんだ気がした。
すると、年配の女性に話しかけられる。
よく見えるようになったはいいけれど
「お姉さん、若いのに手術するの?」
「もう60歳手前なので、お姉さんと言われるような年ではないんです。今日は右目、来週は左目を手術します」

ここで新たな問題が発生する。それは「老眼」だ。
術後、遠くのものがよく見える一方で、近くのものが見えづらく感じるようになったのだ。もちろん急に視力が変わるわけはないから、すでに始まっていた老眼に見て見ぬふりをしていたのだろう。
しかたなく文字サイズを大きくしてみたら、たまたま帰省していた次女に見られ、「文字大きいねぇ!」とびっくりされた。それ以来、スマホの画面はなるべく人に見られないようにしている。
ここで新たな問題が

結局、見栄を優先して外では老眼鏡をかけずに本を読んでいる。
腕を目一杯伸ばして本を目から可能な限り離しているので、むしろ老眼がバレそうではあるが、もはや意地である。
どうか私を見かけても、「見栄っ張り」ではなく、「頑張っているね」と思ってほしい。
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出典=『婦人公論』2024年11月号
さえじまゆう
イラストレーター・マンガ家
講談社「コロナ禍の漫画&文章コンテスト」マンガ部門最優秀賞受賞。
イラスト、エッセイマンガの分野で活動中。twitter/Instagram
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