若い頃から進行性の難聴を抱えてきた。音を電気信号に変換する内耳や聴神経、脳に何らかの問題がある感音難聴で、高い音から徐々に聞こえなくなるタイプだ。
3歳からピアノを習い、音楽に親しんだ。
「今にして思えば、子ども時代から、88鍵あるピアノの一番上の音だけ、ピッチ(音の高さ)がおかしい、気持ち悪いと感じていました」
絶対音感を持ち、音程の聞き取りには自信があった。それだけに、「オーディオの音程がおかしい」「オルゴールの高音が聞こえない」と気づいても、原因は自分の耳ではなく、機械やオルゴールだと思い込んだ。
21歳の時、鼻の不調で受診した耳鼻科で、聴力検査を受けた。医師が検査を勧めた理由については、よく覚えていない。診察室でのやりとりで、何度も聞き返したのかもしれない。
結果を知って驚いた。両耳とも難聴だという。ただ、詳しい検査には進まなかった。「日常生活にも音楽活動にも不自由さを覚えることがなかったから」。きちんと診断を受けたのは、さらに聴力の低下が進んでからになった。
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エッセイスト 麻生圭子あそうけいこ さん(66)

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