きっかけはメイドの不安...メイドカフェが聴覚障害者向けイベント 障害持つ人にも「ウェルカムだと伝えたい」

きっかけはメイドの不安...メイドカフェが聴覚障害者向けイベント 障害持つ人にも「ウェルカムだと伝えたい」

2025.06.13 11:00
社会班

   老舗メイドカフェ「あっとほぉーむカフェ」による聴覚障害者向けのメイドカフェ体験イベントが、2025年6月8日に都内で開かれた。

   なぜメイドカフェが聴覚障害者向けのイベントを行ったのか。メイドのまゆみさんは、過去に耳の聞こえない「ご主人様」や「お嬢様」と接する中で、「本当の意味で楽しんでもらえていたのか」と不安を抱えており、それを相談したことがイベント開催のきっかけになったと説明している。

聴覚障害者向けのメイドカフェ体験イベントの様子

メイドが参加者に「ご給仕」。横にあるディスプレイに話した言葉が表示される参加者とメイドで記念撮影メイドのみづきんさんとこめこさん。手にしているのは「VUEVOディスプレイ」と、方向で切り分けて複数人の会話を認識するマイク「VUEVOディスプレイ」を使ってメイドが参加者に「ご給仕」インフィニア代表取締役社長の深沢孝樹氏
メイドが参加者に「ご給仕」。横にあるディスプレイに話した言葉が表示される


メイドも「緊張」、開催中は手話を教わる場面も

   イベントを主催したのは、「あっとほぉーむカフェ」を運営するインフィニアと、落合陽一氏が代表取締役会長CEOを務める「ピクシーダストテクノロジーズ」だ。

   イベントでは、ピクシーダストテクノロジーズが開発した、会話内容をリアルタイムで文字変換して表示する透明なディスプレイ「VUEVO(ビューボ)ディスプレイ」を使って、メイドたちがイベントを訪れた聴覚障害者やその家族に「ご給仕」。ドリンク提供やチェキ撮影、メイドに勝った人にはプレゼントが渡される「萌え萌えじゃんけん」などを行った。

   大人から子どもと幅広い年齢層の人が参加し、メイドが参加者から手話を教わる場面もあるなど、双方楽しそうに交流する様子が見られた。

   イベント終了後、参加者の男性は「メイドたちが手話に積極的なのがよかったです」と感想を話した。別の参加者の女性は、「『萌え萌えきゅん』といったわかりやすいフレーズをはっきり使ってくれ、参加しやすかったです。言葉もかわいらしく、気持ちがはずんだ」と伝えた。

   メイドのみづきんさんは、普段以上に表情や話すスピードに気を付けたといい、参加した「ご主人様」や「お嬢様」が楽しそうにする様子を見て「話す前は本当に緊張しましたが、ご主人様やお嬢様がすごく温かく迎えてくれて、私たちの方が緊張をほぐしてもらいました」と話した。

   メイドのこめこさんも、「(参加者と)話すなかで『これはどういう手振りなんですか』とお聞きしたら、とても優しく丁寧に教えてくださって、その時間も楽しかったです。勉強になりました」と振り返った。


社長の思い......障害を持つ人にも「ウェルカムだと伝えたい」

   なぜ、メイドカフェでこのようなイベントを開催するに至ったのか。インフィニア代表取締役社長の深沢孝樹氏は、実はメイドからの提案がきっかけだったと話す。

「『深沢塾』という社内の意見交換の場を定期的に設けているのですが、そこで実際に聴覚障害を持つ方への『ご給仕』をしたことのあるメイドの『まゆみ』から、障害のある人などより多様な人に楽しんでもらえるような何かができないかという話がありました」


   同様のタイミングで深沢氏は、あっとほぉーむカフェで外国人観光客への対応のため試験的に導入していた「VUEVOディスプレイ」が、実はもともと聴覚障害者への情報伝達ルーツとして開発されたことを知ったという。

   ピクシーダストテクノロジーズが聴覚障害の関係者とのつながりを持つこともあり、共同でイベントを開催する運びとなった。

   深沢氏は、あっとほぉーむカフェ側が障害を持つ人にも来てほしいと思っていても、当事者は店に入ることをハードルが高いと感じ、躊躇してしまうのではないかと考えたという。今回のイベントは、そのように感じている人への「後押しのためのイベント」であり、障害を持つ人にも「ウェルカムだと伝えたい」と話した。


メイドが聴覚障害者に「ご給仕」するなかで抱いていた不安

   発起人の1人であるメイドのまゆみさんは、過去に耳の聞こえない人たちがよく来店していた時期があったと振り返る。当事者の「ご主人様」や「お嬢様」は「楽しかったよ」と話すというが、まゆみさんは「本当の意味で楽しんでもらえていたのか、ずっととても不安でした」と話す。中には、今は店に来なくなってしまった人もいるといい、単にその人自身の状況が変わった可能性もあるが、「楽しませられていなかったんじゃないか」と引っかかっていたという。

   今回のイベントでは、参加した「ご主人様」や「お嬢様」と「ゆっくりじっくりコミュニケーション取ることができた」といい、「笑顔もたくさん見せていただけて、本当に嬉しかったです」と話した。参加者が楽しそうにする姿を見て、「すごく自信に繋がった」という。

   深沢氏はイベントを経て、今後はあっとほぉーむカフェの店舗でも聴覚障害者向けの日を作るなどイベントを行うことも検討しているという。障害を持つ人にも「エンタメの選択肢の1つとして、選んでいただけるようになりたい」と話した。


リンク先はJCASTニュースというサイトの記事になります。


 

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