配信日: 2025.04.23
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言葉によるコミュニケーションや摂食・嚥下に困難を抱える人々を支援する「言語聴覚士」は、高齢化社会が進む日本において医療や福祉の分野で欠かせない存在であり、今後さらにニーズが高まる可能性があります。
この記事では、言語聴覚士の平均年収や、資格を取得するためにかかる費用について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
言語聴覚士とは
言語聴覚士は、言語や聴覚、嚥下(飲み込み)に関する障害を持つ人々を支援する専門職です。発声や発音が困難な方や失語症を患う方、聴覚障害を持つ方、食事中の嚥下が難しい方々へのリハビリテーションを行います。
言語聴覚士の勤務先は、病院やリハビリテーションセンターなどの医療機関を始め、介護老人保健施設などの介護施設、特別支援学校などの教育機関、保健所などの行政機関です。
言語聴覚士の平均年収はどれくらい?
言語聴覚士の年収は、勤務先の施設形態や規模、地域、雇用形態などによって異なります。そのため、ここでは平均的な年収を取り上げました。
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」のデータでは、「理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、視能訓練士」がひとつの職種区分としてまとめられており、そのうち「従業員10人以上の事業所に勤める人」の平均月給は30万900円、年間賞与は71万4400円です。
この金額から推定される平均年収(月給×12ヶ月+賞与)は、約432万5200円となっています。ただし、この金額は平均であるため、経験年数や役職によっても大きく変動するでしょう。
また、同調査によると言語聴覚士の平均初任給(20歳~24歳、勤続年数0年)は24万3000円で、年間賞与は2万9200円、年収にすると294万5200円でした。
また、経験年数10年~14年の30歳~59歳の平均月給が29万2500円~33万3700円、経験年数15年以上の35歳~59歳の平均月給が30万6100円~40万400円となっていることから、言語聴覚士は経験を重ねるごとに給与が上昇する傾向がみられます。
言語聴覚士になるための専門課程と費用
言語聴覚士の養成課程では、言語聴覚障害学などの専門科目に加えて医学や心理学などの基礎科目を学びます。加えて、実践的な知識と技術を身につけるために、病院やリハビリ施設などでの臨床実習も必要です。
養成課程を修了すると「言語聴覚士国家試験」の受験資格が得られます。試験は年に1回、例年2~3月に行われ、合格率は50%~60%程度です。国家試験に合格した後は、言語聴覚士免許の申請を行い、免許登録が完了すると「言語聴覚士」として働くことが可能です。
受験資格を得るためには、文部科学大臣または厚生労働大臣が指定する養成課程を修了する必要があります。進路としては、主に以下のような選択肢があります。
・3年~4年制の大学または短期大学(高校卒業者が対象)
・3年制の専修学校(高校卒業者が対象)
・大学または大学院の専攻科、2年制の専修学校(一般の4年生大学卒業者が対象)
学費は学校によって異なりますが、一般的に4年制の私立大学では約400万円~600万円、公立大学で約250万円、3年制専門学校で約300万円~500万円、2年制専門学校で約200万円~400万円が必要でしょう。
言語聴覚士の現状と課題
言語聴覚士は医療や福祉の現場において、その専門性が高く評価されており、年々需要が高まっています。しかし、実際の現場では人員が十分に確保されていない状況もみられます。
引き続き需要が見込まれる職種のため、人材育成や就労環境の整備に向けた取り組みが、今後いっそう重要になるでしょう。
言語聴覚士の年収は平均約432万円。経験を積むことで、年収は増える傾向
言語聴覚士は、発声や発音に困難を抱える方や聴覚に障害を持つ方、食事の際にうまく飲み込めない方などの生活の質を高める、重要な役割を担う職業です。資格を取得するには一定以上の学歴が求められ、時間と費用がかかるうえに、現場では高い専門性や努力が必要とされます。
就職先は医療機関だけでなく、教育機関や研究機関など幅広く、高齢化社会における需要増加や社会貢献度の高さから、やりがいのある職業といえるでしょう。
一方で、現状では言語聴覚士の人数は十分とはいえず、支援を受けられない方が出てしまう恐れもあります。今後は、このような状況を解決するための対策が求められているでしょう。
出典
厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査 表番号1 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)、表番号10 職種(小分類)年齢階級、経験年数階級別所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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