デフリンピック開会式、「100年の1日」観客魅了…参加した人工内耳の21歳「会場全体が一体になった」

デフリンピック開会式、「100年の1日」観客魅了…参加した人工内耳の21歳「会場全体が一体になった」

2025/11/15 21:08

 静寂に包まれた世界の熱き戦いが始まった――。東京体育館(東京都渋谷区)で15日に行われた「デフリンピック東京大会」(読売新聞社協賛)の開会式。聴覚に障害がある人もない人も一緒になって作り上げた式典で、アスリートたちは健闘を誓い、パフォーマーたちは誰もが輝ける社会の実現を訴えた。

開会式で披露されたダンスパフォーマンス(15日、東京体育館で)=近藤誠撮影

開会式で披露されたダンスパフォーマンス(15日、東京体育館で)=近藤誠撮影


 開会式では、「100年の1日」と題したダンスパフォーマンスが繰り広げられた。きらびやかな光の演出の中、プロダンサーとオーディションで選ばれた計約160人が会場を盛り上げた。

開会式で披露されたアーティスティックプログラム(15日、東京体育館で)=近藤誠撮影

開会式で披露されたアーティスティックプログラム(15日、東京体育館で)=近藤誠撮影


 彩の国さいたま芸術劇場芸術監督の近藤良平さんと、ろう者で俳優の大橋弘枝さんが共同で演出を担った。1924年に第1回大会が行われてから100年のろう者の歴史などを表現し、抱き合ったり手を合わせたりする多彩なコミュニケーションが振り付けに取り入れられた。

 健聴者も含めたオーディションを経てパフォーマンスに参加した筑波技術大3年の伊東咲良さん(21)(茨城県つくば市)は生まれつき耳が聞こえにくい。人工内耳をつけて生活しており、ダンスの時には頭の中でカウントを取り、周りの動きと合わせる。小学校の頃には、健聴者の仲間に「動きが音とずれるなら出ないで」と心ない言葉をかけられ、悔し涙をこぼしたこともあった。

開会式に出演した伊藤さん(9月、つくば市で)

開会式に出演した伊藤さん(9月、つくば市で)


 開会式を終えた伊東さんは「とても緊張したが、踊り始めると自然と役に入り込み、心の底から楽しめた」と振り返り、「会場全体が一体となるような空気が生まれ、うれしかった。障害のある人も、ない人もその場にいる全ての人が一つに重なったように感じられた」と心境を明かした。


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