おはリナ!#TOKYO LENS
2025.11.19(水) 06:50
TOKYO MX(地上波9ch)朝の情報生番組「おはリナ!」。「TOKYO LENS」のコーナーでは、TOKYO MXの曹蒙記者が外国人記者の視点から、日本における「補聴器」の現状を取材しました。

◆諸外国と比べた日本の低い普及率
補聴器は、周囲の音を大きくして耳に届け、コミュニケーションなどをサポートする医療機器です。しかし日本での普及は世界に比べて遅れを取っているといいます。

補聴器のイメージを街で聞いてみると、「外から見ると聞こえない人に対してのハンディキャップみたいなものが分かってしまうのが嫌なのかなという気はします」という声や、「それを必要としているというのを自分自身で認めたくないとか、自分がこんなに年老いてしまったんだというのをまず認めたくない」といった、周囲からの見え方を気にしてしまうというネガティブな意見が目立ちます。
2022年に日本補聴器工業会が行った調査によると、日本の補聴器の普及率は、難聴を自覚している人の中の約15%にとどまり、欧米諸国と比べて低い水準です。どうして普及率に差が生じているのでしょうか。

補聴器の使用について外国人に聞いてみると、アメリカから来た男性は「特にネガティブなイメージはありません。コミュニケーションを助けてくれるいいものです。もし聴力が低下したら絶対に使います」という意見が。

イギリスから来た女性は「私の国では必要なものだと認識されていて、特に恥ずかしいことはありません。文化的に受け入れられていると思います」といった回答が返ってきました。さらに、「イギリスの補聴器はデザイン性もあっておしゃれなので、若い人でも気軽に使えるようになっています」とも。

◆難聴による「うつ病発症」のリスクも
日本と海外で生活への受け入れられ方が異なる補聴器。実は、補聴器などを使わず難聴を放置すると、健康面において様々な悪影響を及ぼす可能性があります。

120年の歴史を持つ大手補聴器メーカー「オーティコン補聴器」の齋藤さんは、難聴によるうつ病発症のリスクを指摘します。「難聴を放置することで、高齢者の方が社会的にコミュニケーションが減り、孤立するということがある。孤立すると人との繋がりがなくなるので、うつ病になってしまったり、外に出ることが減るので体が弱くなったり、そういうリスクも報告されています」と話します。
そんな補聴器ですが、最近は技術も進化しています。オーティコン補聴器では、音を理解する「脳」に着目した製品開発を行っており、脳を中心としたアプローチで聞く力をサポートし、自然な音の情景を届けることを目指しています。

曹記者が実際に補聴器を体験すると、「音がクリアに聞こえます。外にいると風や車の音で聞こえにくくなることがあるので、助けになりそうです」と実感を語りました。

また2年前から補聴器を使っている吉田さんは、スムーズに会話に参加できるようになったことで、孤立感が解消されたと話します。「聞こえてないと、一人ぼっちになったような気がしたりしてね。聞こえてないから、とにかくニコニコしてるだけとか、そういう辛さはありました」と当時を振り返り、「(補聴器を)付けることによって、コミュニケーションも取りやすくなるし、そういう意味では(自分自身が)積極的になれた」とその効果を実感していました。

◆「ヘッドホン難聴」にも注意!
難聴の問題は高齢者だけのものではありません。若者中心に注意が必要になるのが「ヘッドホン難聴(イヤホン難聴)」。これは、ヘッドホンやイヤホンを使って大音量で音楽を聴き続けることで起こる難聴で、少しずつ進行するため自覚しにくいという特徴があります。WHO(世界保健機関)は、世界の10億人の若者が難聴のリスクにさらされているとして警鐘を鳴らしています。

ヘッドホン難聴の予防法としては「聞く時に音量を下げること」「連続して聞かずに休憩を挟むこと」「騒音の中でも音量を上げなくて済むようにノイズキャンセリング機能を活用すること」などが挙げられています。
<番組概要>
番組名:おはリナ!
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 <TOKYO MX1> (※番組終了)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/oharina/
リンク先はTOKYO MX+というサイトの記事になります。
